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残り20分

by 唐草 [2023/07/31]



 急遽、使っていなかったサーバを再稼働させることにした。そう判断したのは、ぼくの勘が「近いうちにヤバいことが起きそうなので備えておけ」と告げたから。オタクな言い方をすればゴーストの囁きってやつだ。その勘が当たるかは分からない。外れて取り越し苦労で終わる展開を望んでいる。
 それでも、備えあれば患いなし。根拠なき楽観論を信じて動かないよりも、根拠なき悲観論に突き動かされて準備をしておくほうがマシだ。
 使っていなかったサーバは、仮想化ホストとして使うことを想定したハイスペックPC。しかし、人員配置換えの影響で計画は休止。サーバは使用目的を失った。
 高性能な機械を電源も入れず放置しておくのはもったいないのでぼくが引き取ったものの、スペックに見合った使い方は思いつかなかった。結局、バックアップを置くファイルサーバとして使うにとどまっていた。メモリ64GBのNASだ。
 不運は更に続く。昨年からの電気代高騰を受けて節電のためにサーバの停止をお願いされてしまった。ぼくは「バックアップなら外付けSSDで十分」という経営側の合理的な判断に反論できる論拠を持ち合わせていなかった。こうしてサーバは2回目の眠りにつくこととなった。
 ゴーストが囁く今こそ、目を覚ます時。
 という訳で再セットアップをしようとしたのだが、ハードディスクに60GBのデータが残っていた。消しても平気だろうが、消した後に後悔するのは嫌なのでコピーを取ることにした。
 ファイル総数は約60万。
 ネットワーク越しのコピーにかかる時間は20分と表示された。ハイスペックさがついに発揮されるときが来たようだ。さすが10Gbps。
 20分後、残り時間は28分になっていた。増えている!ブラックホール的な時空の歪みでもあるかのようだ。
 結局、コピーが終わるまでの2時間、表示は残り20〜30分の間でウロウロしていた。この感覚、いらつくが懐かしくもある。そう、ブロードバンドが普及する前のダウンロード時間表示と同じ。Windows 98の頃の感覚だ。それでいいのかハイスペックサーバ。8コアCPUが泣いているぞ。