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謎の指輪

by 唐草 [2023/07/26]



 2週間前に自分で書いたメモの意味がわからない。いったいぼくは何をしたかったのだろう?
 ゲーム制作を管理するToDoリストに「アクセ実装」という項目がある。その名の通り実装を考えているアクセサリ効果を列挙したリストである。現在、27個のアイディアが記されている。
 正直言って、27種類は多すぎる。覚えるのも大変だし、似た効果もある。リリースするときに、27種類すべての効果を利用可能にするつもりはない。
 それでも27種類をせっせと実装している。そんな骨折り損のくたびれ儲けと思える作業に時間を割いているのには理由がある。
 効果の是非を頭で考えるよりも、実際にゲームで使ったほうがずっと理解が深まるからだ。「力が5増える」と言われても、どれ程の影響なのかを脳内で試算するのは難しい。でも、力が5増えるアイテムを作れば、その効果は一目瞭然。実際のところ力+5は強すぎた。
 リストに載っている効果を上から順番に作っていたのだが、18番目を見て手が止まった。
 18番目には「身代わり」と書かれていた。
 これを書いたのは2週間前。その時のぼくはどのような効果を考えていたかまったく思い出せなかった。
 制作中のゲームにおいてアクセサリはギャンブル要素の強い装備品として扱っている。通常の力の指輪は力がアップするが、呪われていると力ダウンになる。また、ステータス異常半減のアクセは、毒や混乱といったデバフ効果時間を半減すると同時にスピードアップなどのバフ時間も半減してしまう。こんな具合にプラスもあるけれど同じだけマイナスもあるのが、アクセサリの設計思想だ。
 その前提に立って「身代わり」が何なのかを考えてみたい。
 おそらく致死的なダメージを受けた際にそれを1回だけ身代わりで受けてくれるプラス機能を考えていたのだろう。だが、それはあまりにもメリットが大きすぎる。この大きなメリットと釣り合う大きなデメリットを考えていたはずだ。
 でも、それを全然思い出せない。2週間前の自分はいったい何を考えていたのだろう?今回の開発最大の謎が発生したと言っていい。