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秘伝のタレの中身

by 唐草 [2023/07/14]



 ぼくの仕事の80%は過去の自分の資産の使い回しで成立している。多くの案件が一度きりの仕事とは言え、ぼくの元にやってくる仕事の本質は3種類ぐらいしかない。だから、成功した過去の資産を守秘義務とか著作権に抵触しない形で使い回すのが、ぼくにとってもクライアントにとっても最善手なのだ。
 という訳で、ぼくのPCにはこれまでの仕事のほぼすべてが収められたバックアップが保存されている。
 一般的にバックアップは、ある時点の状況をまるごと保存して、その後は触れないというイメージが強い。だが、ぼくのPCバックアップは一般的なものとは異なる。何年も触れていないデータがある一方で、頻繁に利用しているデータもある。そして、なにより違うのは、日々新しいデータが追加されていることだ。
 普通のバックアップは、いわばある瞬間を冷凍保存したものだ。それに対してぼくのバックアップは、毎日継ぎ足しながら使う秘伝のタレのようなもの。このタレこそ、ぼくそのものと言っていいだろう。
 先日、Macbook Airに秘伝のタレをコピーした。
 ファイル数は20万。容量は20GBぐらいあった。
 これを多いと判断するか、少ないと判断するかは意見が割れるだろう。映像や印刷物を扱う人からすればファイル数は多く見えても、容量は少なく見えるはず。一方、Web開発者からはまったく逆の反応を返されるに違いない。
 ぼくは、この数字を見てどちらも多すぎると感じた。いったいなにがそれぞれの数字をかさ増ししているのだろう。
 容量の多い順にフォルダを並べたら違和感の正体が明らかになった。
 5万ファイルぐらいは不可視のメタデータの類だった。これは絶対にいらない。その他にもサイトを丸ごとバックアップしたときにCMSまでコピーしていた例もあった。
 また、古いiPhoneの開発ソフトのインストーラーが4GBも消費していた。いまやインストールできる環境すら無い。これも絶対にいらない。
 秘伝のタレの中身の半分はゴミだった。今となっては確実にいらないものはバックアップから削除するべきか?それとも残してこそのバックアップか?悩ましい。