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大人も雪だるま作っていいですか?

by 唐草 [2022/02/12]



 大人になると雪にワクワクしなくなると言うが、これは間違った認識だと思う。
 ぼくはいつの頃から雪の知らせや眼前に広がる銀世界にワクワクしなくなっただろう?小学生の時は寒さに気づかぬほど大興奮で小さな雪だるま作りに熱中していた。中学生の時は校舎前で雪合戦する奴らを冷ややかに見つめながらも、彼らに反撃されない3階から雪玉を投げつけていた。高校生の時は中学生の時とほぼ同じことをしていた。大学生のときはマウンテンバイクなら雪上も走れるのではないか?という疑問に体当たりしたこともあった。社会人になってからは雪の上に倒れ込んでギャグマンガで地面に落ちたときみたいな跡を作ると意気込んだのが記憶に新しい。精神の成長がまったく見られない。
 積雪どころか降雪すら珍しい関東地方に暮らしていると、いくつになっても雪は珍しい。ついついはしゃいでしまう。
 そんなぼくでも、大人になるにつれて雪遊び以外のことも考えるようになっていた。気がつけば、雪の知らせを耳に挟むと「疲れるから雪かきしたくない」とか「絶対に電車遅れるんだろうなぁ」とか雪による弊害を想像して気が滅入るようになっていた。雪さえ降らなければ面倒なことは起きない。昨日と同じいつもどおりの明日のほうが良いと考えるようになっていた。これこそ雪を嫌う大人の考え方なのだろう。
 天気予報を聞いたり、鈍色の空を見上げるたびに、心の中に相反する考えが浮かんでいた。
 「降るならどかっと降って非日常な景色を見たい」という後先考えない子供らしい率直な雪へのワクワク。「寒いのも、不便なのも、後片付けもみんなイヤなので雪なんて一粒も降らないでほしい」という雪の後のことを考えて気が重くなる大人の考え。
 ぼくの中で、子供と大人の考えがせめぎ合っていた。きっと他の人も同じようなものなのではないか。多くの人は歳を重ねるごとに大人の考えが勝るようになって、かすかなワクワク感を見失ったり否定してしまうのかもしれない。
 ぼくの心の中のせめぎ合いは、今回もワクワクが勝った。まだまだガキだな。