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夜のリビング

by 唐草 [2022/02/09]



 タイムプラスで夜の猫を撮った動画は、植物成長の微速度撮影よりも動きが乏しかった。これをYouTubeにアップしても最後まで再生してくれる人は、猫好きでもいないだろう。それでも、ぼくにとっては発見に満ちていた。自分の目では絶対に見られない光景が記録されていたからだ。
 カメラをセットするのは夜0時から朝8時ぐらいまで。その間15秒に1枚のペースで撮影をしているので、朝には2,000枚近い画像が記録されている。これを1つの動画につなぎ合わせて見るのが、朝のルーティーン。
 映っているのはソファーやテーブルチェアで眠る猫の姿。一度寝る場所を決めたら朝まで同じ椅子で寝続けている。猫は夜行性だし、昼間はグーグー寝ているので夜ぐらい活発に動き回るのかと思っていたが、そんなことはなかった。丸まったままぐっすり寝ている。時々寝返りをうつぐらい。お気に入りの椅子の奪い合いもない。
 夜のリビングは、想像とは違って静かで平和な空間だった。
 とは言え、微動だにしていないわけではない。寝始めたときはキュッときつく丸まっているものの、寝ているうちに徐々に丸まりがほぐれていく。そしてある程度丸まりが緩くなると寝返りして、もう一度キツく丸くなる。一晩中、つぼみがほころぶような動きを繰り返している。
 この地味な映像から長年の謎がまた1つ解けた。
 傍らで寝ている猫って、見るたびに体の向きが変わっている。それなのに、いつ猫が寝返りをしたのかが全然わからない。いったいどれだけ静かに、そしてどれだけ素早く寝返りをするのかが不思議で仕方なかった。
 タイムプラス映像の中には、長年幻だった猫の寝返りが数度映っていた。30分〜1時間に1度ぐらいの不規則なペースでクルクルと向きを変えていた。素早い身のこなしのようで、フレームには4匹の猫が写っていても寝返り途中の姿は数枚しか記録されていない。
 このペースとスピードで向きを変えるんだったら、隣りで寝る猫が見るたびに向きが変わっていても不思議はないな。良かったワープしてなくて。