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大山鳴動して鼠一匹

by 唐草 [2022/02/11]



 どんなに観測技術が進歩しても、どれだけ予想モデルが進化しても、天気予報の精度は常にぼくらを納得させられる領域には達していないようだ。今回の雪の予報が当初「記録に残るレベル」の雪への警戒だったことを考えるとついつい手厳しい感想を抱いてしまう。
 蓋を開けてみれば、雪は降ったには降ったがほとんど積もりもしなかったという拍子抜けの結果。前日から警報級の雪への警戒と備えを怠らないようにと語気を強めて連呼していただけに天気予報がハズレてしまったような印象だけが残る。植木鉢を避難させたりしたのは良かったと言えるが、車のワイパーを上げたのはムダだったようだ。慌てて雪かきスコップを買った人は、内心ムッとしていても不思議はない。
 テレビ局も東京の様々なところに中継を出していたが、狙った絵を撮れないでいた。冷たい雨が降っているだけの中継を見ていると、寒空に空振りに終わったクルーのやるせなさを想像してしまうと同時に前日からの騒ぎ和なんだったんだという感想がますます強くなる。
 ポジティブに考えれば、大きな雪害も起こらなかったし危険予報がハズレたのは良いことと言える。
 けれども前日から大騒ぎをしていて、それに踊らされた身としてはなんとも肩透かしな印象が残る。大山鳴動して鼠一匹とはまさにこのこと。
 思い起こしてみれば、これまでにも似たような勇み足の警報予想は何度かあった。個人的な印象だけで言わせてもらえば、警報級のリスクが迫っていると強いメッセージを発したときほど不発に終わっているような印象さえある。大外ししたときのほうが印象が強いからだと思うけれど。
 不発が増えているのは、精度よりもリスク回避に重きを置いた気象庁の意向もあるのだろう。手をこまねいていて被害が広がるよりも、オオカミ少年とそしりを受ける方が良いという名を捨て実を取るような判断はすばらしい。
 なによりこの肩透かし感じは日頃の天気予報の精度に満足しているからこそなのかもしれない。晴れと雨を間違えるような予報しか出せないようだったら、初めから誰も耳を貸していない。