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餌場のヒエラルキー

by 唐草 [2022/02/07]



 自然界の食物連鎖はピラミッド型のヒエラルキーになっていると言うのが、広く知られたイメージ。最下層に植物があり、それを虫が食べる。次の段では虫を小型の鳥や小動物が捕食する。最上層では大型の肉食動物や猛禽類が小動物を狩る。大まかにこんな構造になっている。
 現代の都市部で暮らしているとこの階層構造を目の当たりにすることは少ない。猫が鼠を捕まえるのを目撃することは、猫を飼っていても滅多に無い。それどころか虫食いのある葉っぱを見ることすら珍しい。
 自然をよく観察すれば、食虫植物のような下剋上をしている例外的な生き物もいる。それでも食物連鎖のピラミッドモデルに異論を挟む人はいないだろう。大きなものが小さなものを、強いものが弱いものを食らう。これが自然の摂理だと解釈している。
 理解しやすいピラミッドモデルだが、このモデルは同階層にいる動物の関係を表現できていない。草を食べる生物が皆仲良しかと言ったらそんなことはない。異なる肉食獣が獲物を奪い合うことだって珍しくもない。
 野鳥用の餌台を設置していると同じものを食べる生き物の関係にもヒエラルキーがあるのがよく分かる。
 我が家の餌台はアワやヒエと言った穀物が中心。これを狙うのは普段地面を突いているスズメとハトだ。スズメとハトが餌台を巡って争うことはない。十羽ぐらいスズメが群れていても、ハトが来れば蜘蛛の子を散らすように去っていく。数ではなく大きさが力なんだというのがよく分かる。
 スズメは結構凶暴な鳥で、スズメどうしで蹴り合って自分の餌場を奪ったり守ったりしている。でも、ハトに対してその凶暴性を発揮することはない。意気がった中学生が、ガタイの良い高校生を見て逃げるような感じだ。
 食物連鎖ピラミッドは大きな視点で自然を理解する上で重要だということに異論はない。でも、それがすべてでもない。身の回りの自然を理解するのであれば、ピラミッドの同じ層に存在する上下関係の観察を忘れちゃいけないと思う。