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報われない仕事

by 唐草 [2023/08/02]



 予想通りサーバが停止した。悪い方ばかり当たるぼくの勘が、実績をまた1つ積み重ねた。
 先日は、危機の予兆をおもしろおかしく書きたかったのでゴーストの囁きがトラブルを伝えたと書いた。その囁きは預言者の言葉のように無から生まれたのではない。実は、占い師の水晶玉みたいなものが危機の予兆を告げていた。
 危機を伝えていたのは、DellのサーバのUEFIにインストールされているiDRACの警告。「なんかやばいかも?」ぐらいの雑さでLEDをオレンジ色に光らせていた。とは言え、その警告なんて濁った水晶玉に映るぼやけた影と同じ。漠然とした警告を真に受ける人は少ない。多くの人が、もう少し様子を見てみようと対応を先送りする。
 ぼくは違う。
 危機に備えて代替機を用意した。夜中などすぐに手を出せないタイミングでのトラブルも考慮してプランBも用意した。
 はっきり言って、今回のトラブルは想定内。事実、連絡を受けてから1時間以内にプランBでトラブルを解消した。
 秒で直せとか、フェイルセーフしておけという指摘もあるだろう。ぼくだって何度も冗長化を進言している。でも、毎回スルーされる。また、ぼくは常駐契約は結んでいない。トラブったら対応策を提案する運用コンサルなのだ。
 それなのに時間外対応で、停止した機器のクローンを30分で立ち上げ、ネットワークの設定も変えた。8割方サービスと言っていい大盤振る舞いだ。
 だが、ぼくの元に届くのはサービスが停止したことへの文句だけ。復旧への感謝なんて1つもない。
 これがインフラ系の悲しさ。
 通信会社や電力や水道の会社、鉄道などの運輸系もこの悲しみに暮れているだろう。動いて当然だと思いがちなことの裏にどれだけの努力があるかを想像できる人は多くない。
 だから愚痴の1つも言いたくなる。
 もっとも、ぼくも「自分の尻も拭けないクソバカども相手に仕事をしている」と思っているので、おあいこだ。
 なお先日、代替機を準備したときからこんな風に愚痴ることは想定内。別に預言者ではない。サーバの機嫌より、人の振る舞いのほうが予想しやすいだけ。