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未来をインストール

by 唐草 [2023/08/22]



 Windows 95が発売されたとき世間は熱狂的だった。今すぐ買うべきだと特集したテレビ番組さえあった。今となれば途方もないお金をかけたマーケティングだったと分かるが、当時はまんまと乗せられた。そんな狂騒が原体験のせいかOSのアップデートは未来をインストールするようなすごいことだと刷り込まれた感がある。
 しかし、今やその感覚は時代錯誤。OSの販売や配信の仕組みは劇的に変わった。また、アップデートしたところで画面の見た目が少し変わるだけ。インターネットにつながるようになるといったそれまでになかった新しいことができるようになるなんてことも無い。そんなこともあってOSのアップデートにワクワクしなくなった。むしろ面倒なアップデートが来たとうんざりする。そうでなければWindows 11へのアップデートの通知を面倒な顔をして消したりしない。
 いったい、いつからOSのアップデートにワクワクしなくなったのだろう。
 歴代使ってきたOSを思い出してみる。
 Windowsは7の安定感を手放したくなかった。macOSは猫科の名前をやめて国立公園シリーズになった10.9あたりから更新の意義を見いだせなくなった。iOSは8ぐらいから違いが分からなくなった。Androidも6以降バージョンを気にする場面が減ったので放置が増えた。いずれもメジャーアップデートと言う割には、マイナーな改修と制約の増加ばかりという印象を受けたのが冷めた理由のようだ。
 また最近のアップデートは、古いハードの切り捨てとサポート期間終了を告げる面も強い。死刑宣告とまでは言わないけれど、退職勧告みたいなイメージができてしまった。
 それでもぼくの古い魂は、OSのアップデートにワクワクしたいと叫んでいる。
 コンピュータの成熟が進みOSの世代間の差が小さくなったのは良いことだ。でも、更新ごとの差が小さいならメジャーアップデートではなくマイナーな更新にしてほしい。そして、メジャーアップデートには目玉を用意して20世紀末にあったようなワクワクを取り戻してほしい。
 でも、今はトキメキよりもセキュリティの時代。成熟は退屈だ。