カレンダー

2020/04
   
  
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

生臭い姫

by 唐草 [2020/04/21]



 先月末ぐらいから『どうぶつの森』のスマホアプリ『ポケットキャンプ』、通称「ポケ森」を再開した。実に2年ぶりぐらいの復帰である。引退宣言をしたネットゲームにいけしゃあしゃあと復帰したことは何度かあるが、一度アンインストールしたスマホゲームに復帰するのはこれが初めての経験だ。
 とは言え、ぼくの中でポケ森への情熱が熱く滾って復帰したわけではない。なんの情熱も無いままに復帰したのは、知人から「2アカで遊ばないと季節イベントがクリアできないから手伝え」という司令が下されたからに他ならない。
 数年ぶりのポケ森は、基本はまったく変わっていなかったが、遊びやすさは格段に進化していた。ストレスなくスピーディー遊べることは、ぼくのようにあまり時間を割きたくないプレーヤーにはありがたい。でも、それは同時に遊びを淡白にしてしまっているようにも思えた。
 スローライフを謳うゲームが周回の効率を上げられるように進化していることにも驚いたが、それ以上に驚いたことがある。
 元から女性向けを強く意識していたゲームだったが、今では男の存在など眼中に無いだろうと断言できるほどになっていた。課金で手に入る衣装は、アリスをモチーフにしたものやキラキラしたお姫様のような装いが多く、どれも女の子が好きそうなテイストのものだった。本編よりも圧倒的にガーリーだ。当然ながら、ぼくが目の色を変えてしまうようなポストアポカリプスの世界観をイメージした衣装などは1つもなかった。
 他人のアバターを見る機会があるが、しっかりと課金装備に身を包んでいる人も多い。無料ガチャや配布チケットを駆使しているのかもしれないが、購入されていることに変わりはない。確実にプレーヤーのニーズを掴んでいることは間違いないようだ。
 だが、このゲームは理想のお姫様に変身するゲームではなく、あくまで「どうぶつの森」だ。どんなに豪奢な身なりであっても狩猟採取生活から抜け出すことはできない。金髪巻毛でティアラをかぶっていても虫取り網や釣り竿を手放せない。
 バザーを覗くとさらに庶民的な一面が見えてくる。お姫様が、アジとかイカをお買い得価格で売っているのだ。このギャップがぼくのツボにハマった。
 ポケ森の世界のお姫様は、ぜったいに生臭い。