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桶屋はいつでも儲かる

by 唐草 [2020/04/05]



 昨日は、強烈な眼精疲労と頭痛に襲われていた。このぼくが自発的にコントローラーを置くほどの頭痛だった。とても起きていられないので早めに休んだことが功を奏し、今朝には眼精疲労も頭痛もだいぶ改善していた。世間がこんな状態なので、体のどこかに不調が現れると必要以上の不安に駆られてしまう。きっとぼくと同じように足元が覚束ないような感じを受けている人も少なくないだろう。今、咳が止まらなくなったら、例えラーメンのスープにむせただけであっても一抹の不安が過ることだろう。見えない敵からの避難生活は、先が見通せないままどんどん心がすり減っていく。
 幸いなことにぼくの頭痛の正体は、今朝になって判明した。当然のことながら、巷を騒がせているウイルスとは直接的な関係はなにもない。極度の肩こりが、眼精疲労のような目の奥の痛みと脳の一部が鉛にでもなったかのような重い頭痛を引き起こしていたようだ。
 だが、ぼくは昨日の頭痛は、コロナのせいだと声を大にして主張したい。
 そもそもぼくが頭痛になったのは、一日中ゲームで遊んでいたからである。真剣な面持ちでテレビの前に陣取って肩に力を込めてPS4のコントローラーを握りしめていたし、ベッドやソファーの上で片腕で頭を支えながら怠惰な姿勢のままスマホゲームにも興じていた。
 気持ちの良い春の日に一日中部屋に籠もってゲームに興じていたのは、外出自粛要請に従ったためだ。もしウイルスの影に怯えていなければ、颯爽と自転車に跨ってサイクリングへと出かけていたことだろう。
 この因果関係を考えれば、肩こりによる頭痛はコロナウイルスのせいだと断言してもまったく問題はないだろう。
 この考えを屁理屈と呼ぶか、巧みな弁論術と呼ぶかは意見が分かれるかもしれない。ぼくはれっきとした3段論法に基づく弁論術だと信じて疑わないし、「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じだと信じている。
 陰謀説が大好物で普段から無関係な事柄を強引につながっているように考えるのが好きなぼくからしてみれば、自分の自堕落な生活の責任をコロナウイルスに転嫁するなど朝飯前のことである。ぼくにかかれば、晴れの日でも雨が降ろうと槍が降ろうと桶屋はいつだって儲かっていることになるのだ。