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脱水銀

by 唐草 [2021/01/20]



 昨年緊急事態宣言が出て在宅勤務に移行した際に職場から「毎日体温を報告せよ」とのお達しが出ていた。初めの頃は、毎日測定と報告をしていた。
 測定を測定を欠かさなかったのには、2つの理由がある。1つは、自分がコロナに罹患してしまっているのではないかという漠然とした不安を払拭したかったからに他ならない。史上初の緊急事態宣言が、緊張感を作り出していたとも言える。もう1つの理由は、毎朝検温して自分の体温の変化や傾向を知るのが楽しかったから。自分の体調がスコア化されているようで新鮮味があった。
 ただし、長続きはしなかった。
 緊急事態宣言下の生活にも慣れてしまい、良くも悪くもコロナへの怖がり方も分かった。ほぼ引きこもりのぼくは低リスクな生活を送れているとハッキリした。また、体温も見慣れてしまい、数字を見てもなんの感慨も湧かなくなっていった。そのうちに体温測定が面倒になってしまった。
 要するに慣れて飽きたのだ。最終的には職場への報告義務の存在すら忘れてしまった。
 なんで体温報告のことを思い出したのかと言うと、報告がないと怒られたからだ。昨日、お叱りのメールが届いてしまった。と言う訳で、今日から体温測定を再開しようと心に誓った。
 前回、ぼくが測定を面倒に感じるようになったのは、我が家の体温計がレトロな水銀式体温計だったことが挙げられる。水銀式体温計だと1回の計測に5分はかかってしまう。非接触型なら1秒もかからずに測定できるこの時代にカップラーメンの待ち時間よりも長い300秒も費やすのは、あまりにも前時代的。ガラス製の体温計を脇に挟んでじっとしている何もできない5分が苦痛だった。
 と言う訳で、体温計を現代的なものへ刷新することにした。
 非接触型にしようかとも思ったのだが、3,000円以上することを知り尻込みしてしまった。それに外気温に左右されがちだとも聞いたし。お財布の意見と性能のバランスを考えた結果、20秒で測定できる脇に挟む体温計を買った。
 300秒が20秒へ。15倍のスピードアップ。これなら毎朝の負担がだいぶ小さくなるはず。今度こそ継続させたい。