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天才の成果

by 唐草 [2021/01/16]



 昨年、コロナの影が世界を覆い始めてマスクやトイレットペーパーが市場から消えた時期があった。その頃から台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タン氏がとてつもなく優秀だという話を耳にすることが増えてきた。USBすら知らなそうな我が国のIT担当大臣と比べることすらおこがましい。
 それからの台湾の状況を鑑みればタン氏の取り組みが概ね正しかったし、対策が十分な効果を発揮したことは誰に目にも明らかだ。もちろん台湾が陸地の国境線のない島国で、人口の少ない国だということは状況を有利にした面もあるだろう。でも、そのアドバンテージを最大限に活かすことができたのも手腕であることは間違いない。
 ニュースなどで聞くタン氏の経歴は凄まじい。飛び級でアメリカの大学に入学。10代のうちにシリコンバレーで起業。35歳で内閣入り。IQ 180。ラノベでもないぐらいに設定盛すぎ。ここまで来るとかえって嘘くさく聞こえてしまうほどだ。すごすぎてよくわからないが、まごうことなき天才なのだろう。
 プログラマとして活躍してきたとされるタン氏だが、いったいどんなプログラムを書いたのだろう?もしかしたら、ぼくも使っているコードを書いているかもしれない。IT業界では個人の名前よりも「〇〇を作った人」と言われたほうが名が通る。個人名よりも作品名で認識されているという点では、マンガの作者と同じようなものだ。
 ざっくりとタン氏の経歴を調べたところ最大の成果は「プログラムを言語RAKUの作者のひとり」であると取り上げられていることが多かった。
 これを見て、ぼくは複雑な気分になった反面とても納得してもいた。
 RAKUは、90年代から2000年ぐらいまで大人気だったPerlという言語の最新版。当初は、Perl6とも呼ばれていた。だがPerl6はそれまでのPerlと全然違っていたので急激に人気を落とし、その座をPHPとPythonに奪われてしまった。
 地位を失った理由の1つは、雑に書いてもとりあえず動くというPerlのゆるさが無くなってしまったためも言われている。とてもインテリジェントな言語に生まれ変わったせいで、それまで何も考えずにコードを書いていたぼくのような凡人たちがついていけなくなったのだ。
 タン氏の経歴を考えると作った人の頭が良すぎて凡人には使いこなせないものになってしまったようにも思えてならない。