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対数の末路

by 唐草 [2021/11/06]



 「数学を勉強しても社会では役に立たない」というのは、高校生ぐらいの率直な感想だろう。理系だったぼくは「古典なんか役に立たない」と思っていた。
 当時は、本当に役に立つかどうかなんてまったく考えていなかった。苦手なことから逃げる言い訳として生意気にも「社会」を引き合いに出していただけ。高校生の視野では、数学の先生ぐらいしか数学を職にしているようにしか見えない。だから社会を盾にした言い訳に強い説得力があるように思えてしまう。まさに井の中の蛙大海を知らずだ。
 高校までの勉強は、可能性を広げるために知識を積み上げているようなもの。数学に触れていなければ、数学に関わるすべての可能性が指の間からこぼれ落ちてしまう。自分にとっているかいらないかの判断は、使えるようになって初めてできるものだ。数学を学んでいれば「〜はいらない」と全否定する大変さも理解できる。
 古典なんかいらないと思っていたぼくも、十年以上前に川柳の自動生成を試みた際に己の判断ミスを痛いほど味わった。活用などの文法も分からなければ、できた川柳の良し悪しの判断すら分からずじまいだった。おかげで基礎的な勉強に時間を費やしてずいぶん遠回りすることになってしまった。
 知識は思いもよらぬ瞬間に求められる。準備ができていなければ貴重なチャンスを逃すどころか、チャンスの存在にすら気づけず終わるだろう。勉強しておいて損なことなど何一つ無い。無駄に感じるのは、まだ知識の使い方を知らないだけなのだ。
 ぼくはプログラムを書いているが、数学は高校レベル止まり。大学レベルの専門的な数学的アプローチを知らないので、高度な処理を書くことができない。学んでいないから選べる選択肢が無いのだ。
 とは言え、幸いなことに多くの処理は高校数学レベルでカバーできる。多くの高校生を苦しめている三角関数も微分や積分も日々大活躍だ。でも、対数だけは使ったことがない。浮動小数点で使っているのは知っているけど、自分でどうこうしたことは一度もない。本当に使う機会がなかったのか?はたまた機会を見過ごしていただけか?