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VR空間への入り口

by 唐草 [2021/11/07]



 Facebookが社名をMetaに変えたことで、久々にメタバースへ注目が集まっている。これまでSFでしか描かれなかった没入型仮想現実が、今度こそ実現するのだろうか?社名を変えるほど意気込んでいるが、その意気込みは空回りのように目に映る。
 この分野の技術に興味のない人には、何ができるようになるかよく分からないというのが率直な感想だろう。一方、詳しいという自負のある人からすると「またか」という冷ややかな反応が大半を占めていそう。
 メタバースの系譜は、少なくとも20年以上に渡って失敗を重ねてきた。もっとも成功に近かった「セカンドライフ」ですら爪痕を残せていない。個人的にはPS3の「PlayStation Home」の方が印象深いが、どちらもメジャーには遠い。
 これまでのメタバースは、モニターの向こうにあった。これからはVRを利用して高い没入感を得られるようになる。アバターでチャットが楽しめるVRChatの人気を考えるとメタバースとVRの親和性は高いという主張には頷ける。新たなコミュニケーションを実現する可能性を秘めているように思える。
 ぼくも、その可能性に期待を寄せている。テクノロジーが切り開く未来は、これまでの想像を陳腐化させるような世界であって欲しい。でも、正直今回もすぐには成功しないと思う。時期尚早だ。
 現行のVRゴーグルは、性能は十分でも重すぎる。小型軽量化は進んでいるが、まだ1時間以上着けたままでいるのはキツイ。首の痛みで現実に戻ってくるような仮想空間に入り浸りたくはない。
 また、現実の代替になるようなコミュニケーションを実現するには、言葉や身振りだけでなくわずかな表情の再現も欠かせない。ぼくが打ち合わせの際に最重要しているのも、表情の変化や視線の動きだ。カメラで顔をトラッキングすれば細かな表情をアバターへ反映できる。でも、VRゴーグルをかぶってしまったら、それも難しくなる。
 この2つを同時にかなえる機器はまだない。メガネと同重量で表情トラッキングもできるVRゴーグルが実現しない限りメタバースは次へ進めないだろう。
 それはあと3年ぐらい先な気がする。