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吸排気が嫌い

by 唐草 [2019/04/14]



 自分で言うと意識高そうな感じに聞こえてしまうのであまり大っぴらには言っていないが、ぼくは整理整頓が好きだ。PCのデスクトップには縦1列分のアイコンしか置かないし、使った文房具は定位置に戻さないと気が済まない。仕事が終わったら必ず片づけをする。だからと言って、ぼくの部屋やデスクの上がインテリア雑誌のように美しいかと言えばそうではない。崩れそうなほどに積まれた書類の束が置かれているわけでもないが、ベッドメイク後のホテルの部屋のように整然としているわけでもない。どちらかと言えば、雑然とした印象を受ける人の方が多いかもしれない。
 これは、ぼくのインテリア構築哲学が大いに関係している。
 ぼくは家具や文具など小物の配置をする際に見た目はほとんど気にしない。気にするのはアクセスのしやすさとエラーの起きにくさだけである。よく使うものは席を立たずに手に取れる位置に置く。汚れたり壊れたりするものは、手の届かない安定した場所に置く。そういう実用的な使いやすさだけを積み重ねて部屋を作っていく。あたかも山中の歩きやす場所に獣道が自然発生するかのようである。
 その結果が、横向きの本棚やキーボード横の赤ペンである。
 ぼくの言う整理整頓とは、この獣道を維持することである。SNS映えする部屋をキープするのとは根本から違う。
 自分の理想的な環境を保つための整理整頓は大好きだ。でも、掃除はあまり好きじゃない。掃除が嫌いな理由はいくつかあるが、ぼくの作った獣道には掃除道具が入り込める余地がないというのも理由の一つとして挙げられる。でも、それは一番の理由ではない。ぼくが掃除が嫌いな最大の理由は、掃除機が嫌いだからだ。
 細かいごみをグングン吸ってくれる掃除機は、一家に一台あるべき便利で偉大な家電だとは思っている。多くの人が掃除機の恩恵にあずかっているのも分かっている。でも、どうしてもあの甲高い吸排気の音が我慢できない。力いっぱいモーターを回して、悲鳴のような音を上げながら空気とゴミを見境なく吸い込んでいく。ぼくからすると掃除機は、とても粗暴で粗野な機械にしか見えないのである。
 だから滅多に掃除機は使わない。もっぱら静かで温和なモップばかり使っている。
 なお、掃除機と同じ理由でドライヤーも嫌いである。家電や掃除道具の好き嫌いが完全に猫の好みと一致しているのは、ぼくが猫とともに育てられたことに起因しているのだろうか?