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相反する見出し

by 唐草 [2019/04/09]



 昨日、いつものようにYahoo!ニュースの一覧を眺めていたら面白い見出しが並んでいた。日曜日に行われた選挙に関する見出しだったのだが、片方は「野党連合失敗 参院選に危機感」という感じ。もう一方が「与党敗退 参院選に暗雲」というような感じだった。まったく正反対の見出しである。よりにもよって、その2つの見出しが上下に並んでいた。どっちも負けてて、みんなお先真っ暗じゃないか!とツッコミを入れたくなってしまう。
 これが推理クイズならどちらか一方が嘘をついていることになる。でも、現実はどうだろうか?記事を読んでみると両者とも全く異なる視点から記事を書いている事がわかる。選挙結果という数字で示されたたったひとつの事実でも、見方を変えて語れば真実はいくつにも増えていくということだ。
 そういえば、ネットニュースが普及するはるか前、ようするにぼくが小学生ぐらいだった頃に次のようなことが言われていた。
 「世の中を理解したければ、複数の新聞を読み比べなさい」
 これを聞いた当時、絶対に新聞販売店の策略だと信じていた。事実を書き連ねた新聞なんてどれを読んだって大きな差は無いだろうと思っていた。ポストにたくさんの新聞が投函されているのをご近所に見せつけて経済力でも誇示することぐらいにしかならないと考えていた。
 でも、今回のように正反対の見出しが並んでいるのを目の当たりにすると、先人が言っていた「複数の新聞を読み比べろ」というのは理にかなっていたことなのかもしれないと思えてくる。ある種のメディアリテラシー的なアドバイスだったわけだ。
 それにしても主観的な見出しである。各新聞社ごとの主張を強く押し出す傾向は、ここ最近で急に色濃くなったような気がする。その傾向は新聞離れと相関関係がありそうな気がする。中立公平な毒にも薬にもならない記事を書いても読者は離れていく。だったら、残った読者が喜ぶような記事を書いて新聞離れに歯止めを掛ける必要がある。新聞の雑誌化とでも言うべきか。いや、フォロワーをつなぎとめるために甘言をつぶやくSNS上での振る舞いに近いのかもしれない。その結果が、今回の相反する見出しを生んだのではないかとぼくは無根拠に憶測している。
 ぼくはジャーナリズムに無関心な人間だ。だから、今回のように相反する見出しが並んでいても「メディアの腐敗だ」とか憤慨したりすることはない。滑稽な様だと笑うだけである。たぶんぼくは1つの揺るぎない正義というものがあるのを信じていない。だから、どの記事に対しても一様に無関心でいられるんだと思う。