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キャッチできるのか?

by 唐草 [2019/04/28]



 先日「人工衛星『はやぶさ2』は他惑星を攻撃した人類初の宇宙兵器だ」という冗談を書いた。インパクタを撃ち込んで人工クレーターを生成する実験は、我々地球人からすればロマンあふれる偉大な宇宙開発の1ページである。でも、小惑星リュウグウの側から見れば宇宙人からの質量兵器による攻撃であるという見方もできるということを言いたかった。地球が宇宙人から質量兵器で攻撃されたら、それはもうSFの世界である。
 宇宙の研究が進めば進むほどSFの世界なんてものは、ただの絵空事でしかないという悲しい事実が明らかになっていっていく。もし、スターウォーズの世界のようにハイパードライブで宇宙を飛び回れる超科学力を持った宇宙人がいたとしても、彼らがこの広大な宇宙の中でピンポイントに地球へとやってくる確率は限りなく0に近いだろう。宇宙はあまりにも広すぎる。だから現実的に考えれば宇宙人の侵略なんて起こりえない。よっぽど隕石の衝突を恐れる方が現実的である。
 それでも科学者は、他の知的生命体との接触という夢を諦めてはいないのだろう。もう、ずいぶん昔の話になるが太陽系の外側まで飛んでいった調査衛星ボイジャーには他の知的生命体宛のメッセージが搭載されていた。搭載された黄金の写真は、多くの人が見たことがあるだろう。
 初めてこの話を聞いたときは「なんでレコードなんだよ」と思ったものだ。でも、コンピュータを学んだ今だからアナログレコードが選ばれた理由がよく分かる。デジタルデータだと宇宙人が文字化け(エンコード/デコード問題)に苦しんでしまうということなんだ。
 さて、冒頭の話を思い出してほしい。ボイジャーを逆の立場で見てみよう。
 天文学的数字の8乗ぐらいの確率の奇跡が起きて太陽系に他惑星を飛び立った人工衛星がやってきたとしよう。2019年の技術でその人工衛星を回収することはできるのだろうか?
 とても小さな機械だから存在に気が付くことすら難しいだろう。いったいどのぐらいの距離まで近づけば人工物だと確認できるのだろう?もし見つけられたとしても木星などに吸い込まれてしまうかもしれない。軌道によっては今の人類の速度では追いつけても地球へ回収できない可能性も高い。人工衛星がSFも裸足で逃げ出すレベルの超絶ハイテクAIマシンで、自律的に地球の静止衛星軌道に留まってくれたとしても回収は難しいかもしれない。
 今の技術力では宇宙人からボイジャー方式のボトルメールが送られてきても、ぼくらは指をくわえて眺めていることしかできないのだろう。きっとその眺めは、悲しくも美しいまでの広さを持つ宇宙の存在を肌で感じられる瞬間かもしれない。