by 唐草 [2017/09/29]
昼食後、仕事を再開しようとMacのスリープを解除した。
ところが、ぼくの前に現れたのは50%砂嵐のスクリーンだった。デュアルモニターのうち左側のモニターが完全に砂嵐状態になってしまっていた。メインの右モニターは問題無いし、マウスカーソルを動かしてみると左スクリーンの領域まで移動しているようだ。この症状だと、モニター側に問題がありそうだ。
話は変わるが、テレビの砂嵐画面というのがもはや過去の物になってしまっている。地デジ化の影響によってテレビに砂嵐が映らなくなってしまった。テレビが関係する古いホラー映画やドラマを今の子供が見ても、砂嵐画面の怪しい魅力は理解できないのだろう。デジタル化は、幽霊を見てみたいという好奇心さえゼロにしてしまった。
久々に目の当たりにした砂嵐画面。ちょっとノスタルジックな気分に浸ってしまったが、画面が半分使えないのは致命的。だが、深刻な問題では無いと見た。電源を入れ直せば復旧することだろう。
モニターの電源スイッチを切ったら、それっきりだった。
何度スイッチを押しても再度電源が入ることは無かった。おおぉ、ハードの故障なのか?いや、そう判断するのは早計だ。電源を1度抜いてから入れ直してみれば復旧するかもしれない。
電源ケーブルを差し直してから再度スイッチを押す。だが、なんの反応もなかった。
故障なのか?本当にハードの故障なのか?電源ケーブルが断線した可能性だってある。1度机の上からモニターとケーブル一式を降ろして、別のケーブルを試してみよう。
ところが、モニターを机から降ろす作業が恐ろしく難儀なものだった。
モニターの裏側では、古代遺跡を飲み込む樹木の根のように各種ケーブルが絡み合っていた。ゲーム機5台とPC2台、そしてモニター2枚、さらに各種周辺機器のケーブルが、もつれ合い絡み合いひとつの生き物のようにうねっていた。ビニールに包まれた金属ケーブルのはずなのに確かに生き物の気配が感じ取れる。
不器用な三つ編みのようになったケーブル群から目的のケーブルだけを抜き出すのは慎重さと力強さを要求される重労働だった。部屋の狭さは、作業をよりいっそう困難なものにしてくれた。
額に汗しながらどうにかモニターのケーブル一式を取り出すことに成功。別の機械とつないでみたところ、何の問題も無かった。
結局、どこにも問題は見つからなかった。すべての機械とケーブルは、何事もなかったかのように元の場所へと戻っていった。
この大騒動の痕跡は、ぼくの額から滴った汗でインクが溶けてしまった印刷物にのみ記憶されている。