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30秒サイクル

by 唐草 [2024/01/26]



 正月早々に電動歯ブラシが壊れたことは先日書いた通り。すぐに新しい電動歯ブラシを買うつもりだったのだが、ポイ活でAmazonギフト券をゲットしてからにしようと思っているうちにドンドン時間だけが過ぎていった。
 そして普通の歯ブラシを使っているうちに徐々に腕の動かし方も思い出していった。歯磨きの仕方を強く意識して学習したことなんてない。ただ漫然と磨いていただけだ。それでも、数日繰り返しているだけですぐに勘を取り戻せた。三つ子の魂百までと言ったところだ。
 確かに腕は動くようになった。とは言え、それで順調に歯を磨けるようになったわけではない。考えてもみなかった問題に直面することになった。
 どれぐらい歯を磨くのが適切なのか全然わからなくなっていたのだ。
 電動歯ブラシは30秒サイクルを4回繰り返す。このサイクルごとに歯を磨く場所を変えることで磨き過ぎを抑制するようになっている。
 ぼくの歯磨きは、このサイクルに完全に支配されていた。
 だから、一定時間ごとに何らかのシグナルを発してくれないと歯磨きに自信が持てなくなる。もしかしたら磨き過ぎかもしれない。いや、まだ全然磨けてないはずだ。相反する考えが頭の中をぐるぐる巡る。
 それは、目隠しをしてジャスト10秒でストップウォッチを止めるゲームに強制参加させられたような気分。1秒数える毎に自分の感覚が信じられなくなっていく。
 そんな状況を打開するためにぼくが採った作戦は実に単純。秒針のあるアナログ時計を見ながら歯を磨くのだ。こうすれば歯ブラシが何のシグナルを発しなくても適切な歯磨き時間を確保できる。
 実にシンプルな方法だし、実際にこれでうまくいっている。ただ難点が1つだけある。それは、秒針が12や6を指した切りのいいタイミングでないと歯磨きを始めにくいこと。例えば23秒のように切りの悪いタイミングからスタートすると、なんだか時間を見損ねてしまう。
 だから、歯磨き前に歯ブラシを口に咥えてレーススタートの瞬間を待つように鋭い視線を時計に送ることになる。
 30秒サイクルは、構内健康と引き換えに得たぼくを縛る呪いだ。