カレンダー

2024/01
 
   
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

by 唐草 [2024/01/22]



 昨日、日本の住所の構造はコンピュータと相性が悪いという話を書いた。今日に至るまでのさまざまな制度を引き継いでいることと人間が感覚的に理解しやすい緩い構造なのが原因だ。これはコンピュータの最大の敵だ。コンピュータはルールに基づき正規化された情報以外を扱うのが苦手なのだ。
 当たり前のように使っている都道府県もコンピュータからすれば勘弁してほしいものだ。なぜ最上位の枠組みの名前が複数あるんだ。歴史を知れば納得できるが、デジタル化を進めるときには余計な仕事を増やすだけ。
 こういうことを書くと「アメリカは全部『州』だからいいよね」と言われがち。日本人よりアメリカ人のほうが合理主義的な印象もあるが、実はアメリカもいい加減。「州」は一般的に”State”だが、古くからあるマサチューセッツなどは”Commonwealth”となっている。
 歴史が絡んでくると、どうしてもルールがブレる。コンピュータという概念がなくともルールを定めて正規化することはできたはず。でも、人間は今ある範囲だけでルールを作りがち。それが拡張される未来のことなど考えない。ましてや、分母を任意のNに定めたルール作りなんて尚更だ。
 おそらく世界中の住所の多くが、デジタルとの相性が悪いのだろう。だが、日本の住所には都道府県やら区と市の上下関係なんてものよりも厄介なものが存在している。
 それが「町」だ。
 例えば東京都の「日の出町」の「町」は「まち」と読む。一方で、大阪府の「能勢町」の「町」は「ちょう」と読む。こんな具合に「まち」と「ちょう」が混在している。
 「町」の読みに明確なルールはなく東日本だと「まち」が多く、西日本だと「ちょう」が多いという傾向があるだけだそうだ。
 住所の読みを名簿データベースに登録することはない。なので、どう読んでも郵便も宅配も届く。正直、どっちでも構わないのでルールがなかったのだろう。とは言え、町にルールがないことを知ってしまった今、そのことが気持ち悪くて仕方ない。
 今後、AIによる音読が増えていくとちょっと困ったことになるかもしれない。