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伊達巻に屈する

by 唐草 [2024/01/04]



 今年の年末年始の休みは、なんの準備もしていないし、なんの予定も入れていない。つまり、おせちどころかお餅もないし、正月飾りもない。初詣に行くつもりもなければ、親戚への挨拶回りの予定だって無い。言うなれば「お正月感ゼロ」な連休になる予定だった。
 そう企んだのは、別にお年玉が貰えなくなって以来お正月を逆恨みしているわけでもないし、お餅が喉に詰まるのでないかという杞憂から逃れるためでもない。ぼくの理想とする穏やかな連休のあり方を熟考したら年末年始の特別感の排除という結論に至っただけのことである。
 ぼくにとって理想の休日とは、金や銀、そして紅白で彩られた特別な1日ではない。普通の日の延長線上にある穏やかな日を求めている。ちょっと季節外れな例えになるが、小中学生の頃の夏休みの中盤のなんでもない日に近い。夏休みになったという開放感はすでに失われているが、宿題の恐怖はまだ感じていない。そんな日記に書くのに窮する平凡で、昨日と変わらないし、明日も同じだと思うような一日が、ぼくの理想の休日。
 そういう休日を実現するには、錦に彩られたお正月は眩しすぎる。大切なのは、浮足立った周囲に流されることなくいつもと変わらぬ時間を過ごすこと。だから、元日の朝はいつもと変わらずトーストだし、お昼はその時食べたかったホットケーキを焼いた。そこにはアンチお正月思想なんて欠片もない。自分のしたいことをいつものようにしただけ。
 こうしてぼくの理想的な年末年始の連休は幕を閉じるはずだった。
 だが、親戚に会ってきた家族が、手土産としてお餅と伊達巻にかまぼこをもらって帰ってきた。このせいで我が家の食事情は、一気にお正月ムード一色になってしまった。
 お正月の特別感を今更味わうのは癪だが、それ以上に食べ物を無駄にするほうが許せない。ぼくは、自宅から出るフードロスは自分が自分に負けるものだと思っている。だから、意地でも降って湧いてきたお正月らしい食べ物を食い尽くさないと気がすまない。
 というわけで、今日は三食全部お餅!これまで避けてきたお正月が一度に胃袋にやってきた。