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秘伝書

by 唐草 [2020/08/12]



 前にも書いたことがあるが、ぼくのPCには秘伝書が保存されている。書かれているのはLinuxのセットアップコマンドと設定ファイルの変更内容だ。英単語っぽいがよく見ると辞書に載っている単語ではないコマンドが、100行以上並んでいる。コマンド操作を知らない人がこの秘伝書を見たらなんのことかサッパリわからないだろう。
 普通の人は読めないし、読んでも意味がないということからルーン文字で書かれた魔術書と同じである。少なくともぼくはそう信じている。
 この秘伝書さえあればカラクサラボサーバをいくつでも作っていくことができる。しかも、上から順番にコピペするだけでいいのだ。長年に渡るぼくの経験と知識を詰め込んだ大切なファイルである。
 秘伝書と呼んでいるが、一家相伝の秘密が記載されているわけではない。実のところQiita.comあたりに掲載されているありふれた情報が並んでいるに過ぎない。だから秘伝書と呼ぶのはおかしいかもしれない。でも、自分の気分を高めるために偽りと知りながらも「秘伝書」と呼んでいるのだ。間違いなく中二病的なネーミングである。
 この秘伝書は、先祖代々伝わる忍術の秘伝書なんかとは決定的に異なる点がある。巻物かデータかの違いではない。ぼくの秘伝書はまだまだ進化の途上であり、日々内容が更新されている点が決定的に違う。
 先程コピペで使えると書いたが、これは半分ウソである。新しいPCをセットアップしようとしたとき、コピペをしてもうまく行かないことがある。OSやソフトバージョンが変わって、コマンドの使い回しができなくなってしまうからだ。やりたいことは同じだけど、呪文が変わってしまった。そんなことが多々ある。
 問題が起きる度に秘伝書は更新されていく。ググったことをただコピペしているだけなのだが、記録して体系化してラベルを付けることで理解が進んでいく。もし秘伝書を作っていなかったら、ぼくの知識はもっと乏しいものになっていたに違いない。
 勉強の記録を残すメモ。普通、人はそれをノートと呼ぶ。だが、ぼくはそんなつまらない名称を受け入れるつもりはない。痛い大人だと思われようが、秘伝書と呼び続けていく。