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伊藤園はどこだ!

by 唐草 [2020/08/13]



 白桃の旬は短い。見つけたときに食べておかないとあっという間にチャンスを逃す。昨晩は、そんなチャンスが巡ってきた日だった。
 桃の淡い味を堪能している内に話題は桃繋がりで広がっていった。黄桃とプラムの話を経てたどり着いたのはネクターだった。不二家のロングセラーの桃ジュースである。
 類似商品がないのでネクターの知名度は高いかも知れないが、実際に手に取る機会は少ない。ぼくは10年以上飲んでいない気がする。いや、もっとかもしれない。ネクターのことを思い出すと幼少の記憶ばかり蘇る。
 みずみずしい旬の白桃を食べているというのにネクターを飲みたくてたまらなくなってしまった。食べていた白桃が物足りなかったわけではない。押し寄せるノスタルジックな記憶に飲み込まれてしまったからに他ならない。
 どこに行けばネクターを買えるのだろう?早速検索を行う。
 その結果、不二家の商品だが伊藤園の自販機で売られていることが判明した。自販機で買えるという情報は、ぼくの欲望を大いに刺激した。今すぐにでもネクターを飲みたくていてもたってもいられなくなってしまった。まるで桃に取り憑かれたかのようだ。
 財布を持って家を飛び出たい気分だったのだが、ぼくは動けなかった。
 伊藤園の自販機がどこにあるか検討がつかなかったからだ。白地に緑と青のラインが入った伊藤園の自販機を近所で見た記憶はある。でもそれがどこだか思い出せなかった。確かに見ているのにどこで見たか思い出せないもどかしさは、とっさに名前を思い出せない感覚に似ている。もやもやしたものが首の周りに巻き付いているかのようだった。
 普段だったらそのまま頭を抱えていただろう。でも、桃ジュースに魅せられた昨晩のぼくは違った。近所の自販機を手当たりしだいに見て回るというい泥臭い作戦を躊躇なく実行した。
 まずはスーパーに向かう途中の自販機を覗いた。なんかマイナーなドリンクが多いような気がしたからだ。だが、それはアサヒの自販機だった。次に見つけた自販機はサントリーだった。3つ目はコカコーラ。でも、ぼくは足を止めない。
 そして4つ目でビンゴだった。
 そこは通勤で通るけど絶対に止まらな場所だった。目の端に伊藤園を捉えていたのだろう。
 久しぶりに飲むネクターは、記憶の味とちょっと違っていた。