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チョコの適温

by 唐草 [2023/04/23]



 手作りチョコレートと聞いてカカオ豆をすり潰すところから想像する人はいないだろう。多くの人が、板チョコを溶かすところを手作りチョコレートのスタートだと考えている。
 チョコレートは、溶かして型に流し込むだけで一丁前に手作りスイーツの顔ができる便利な食材。元から甘いので味付けも必要ない。ケーキやクッキーのような焼き菓子と比べるとずっと手軽だ。
 その手軽さゆえに「バレンタインデーに特別な人に向けて特別なチョコレートを手作りしてみよう」みたいな話がもてはやされている。スキルが乏しくても特別感を出すことはできるし、ミスが起きても焼き菓子のように炭化して食べられないダークマターが生成されることもない。堅実な手作りスイーツと言える。
 だが、パティシエに言わせてみると、バレンタインのにわか手作りチョコレートは苦い思い出の味になりやすいそうだ。その原因は温度にある。チョコレートを送る側ともらう側の精神的な温度差の話ではない。チョコレートを溶かす温度だ。
 温めるだけで簡単に溶かせるチョコレートだが、溶かした温度によって再び固まったときの食感と味が変わるそうだ。素人が適当に溶かすと油分が分離してボソボソになってしまう。そんな不味いものを食べさせられたら百年の恋も冷めてしまうというものだ。
 このようにチョコレートが温度にシビアな食材だということは、スイーツ作りの文脈でよく語られている。果たして温度を気にするのは加工するときだけでいいのだろうか?加工時に温度の影響をシビアに受けるのであれば、食べるのに適した温度もあるのではないだろうか?
 なんでこんなことを思ったかといえば、冷蔵庫から出した直後のチョコレートよりもしばらく室温で放置したチョコレートのほうが美味しく感じたからだ。温度で変わるのはチョコレートの硬さだけではなく、味もなのではと考えたという次第。
 昨日食べた室温チョコレートは、冬場の室温保存チョコレートよりも美味しかった。どうやら暖かいほうが美味しいようだけれど、暖かすぎると溶けてしまう。ということは、チョコレートの適温は20℃ぐらい?