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1000年のキャリア設計

by 唐草 [2024/02/13]



 ファンタジーに登場するエルフには1000年生きるという設定がある。そんなに長生きなら老害なんてシンプルな言葉では片付けられないほどのジェネレーションギャップがあるはず。それを作品に描いてほしいと書いたのが昨日の記事。
 寿命1000年に従えば、今日老衰で死ぬエルフは平安時代末期生まれ。笏を片手に「いとをかし」をリアルに聞いた世代が、現代を生きるスマホを片手に持つ世代に看取られるわけだ。
 さて、人間とともに1000年生きるとしたらどんな生涯を過ごすことになるのだろう?単純にすべてのことに人間の10倍の時間を費やすのだろうか?もし時間の費やし方が現代人の10倍だとすると以下のようになる。

・喋り始めるのが10歳。あまり知性を感じられない成長の遅さだ。
・小学校に入学するのが60歳。退職者が集うシルバー人材センターのように見える。
・1学年が10年。人間の義務教育は1学年で修了できる。
・成人するのが180歳。1年生の頃に学んだ知識は、もはや陳腐化している。
・生産可能年齢に達するまで150年。社会の一員に加わるまでが長すぎて若年層が社会を圧迫してしまいそうだ。

 単純に10倍した生涯は若い頃だけ見ても何もかもがあまりにスローペース。このペースでは社会のすべてが停止してしまいそうだ。少なくとも人間とともに肩を並べて生活することはできないだろう。自分の1/10しか生きない生き物なんてものは、人間から見た小型犬のようなもの。良くてもペット、現実的に見て都合のいい労働力、最悪なら知恵のある害獣にしか見えそうにない。
 ファンタジーで描かれるように人間とエルフが寝食をともにするには、時間に対して似た価値観を抱くことが欠かせないだろう。それは心身の成長もあるし、人生の節目にあるイベントに関しても同じ。言葉が通じても時計が揃っていないと肩を並べて生きていくことはできそうにない。
 だとすれば、成人するまでの成長は人間と同じぐらい、もしくは最大でも2倍程度である必要がありそうだ。だが、そうすると950年ぐらいかけてゆっくり老いていく人生になる。屋久杉と気が合いそうな生き様だ。