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尻が人質

by 唐草 [2024/03/11]



 トイレのリモコンが電池残量減少を訴えている。「すぐに替えてください」と表示されている。これは「このままでは尻を洗えなくなるぞ!」と脅迫しているようなもの。表示の言葉は丁寧でも、やることはえげつない。
 だが、そう簡単に電池を替えるつもりはない。電池は高いものではないが、電力をしゃぶり尽くすように限界ギリギリまで使い尽くしたいと考えている。だから、液晶画面の交換の表示がくっきり見える内は電池を替えるつもりはない。表示がかすれ始めたら替えの電池を用意して、液晶のバックライトが点くと表示が消えるレベルになってようやく交換を決断するだろう。
 尻を人質に脅されようとも、家電の万全期すためにマージンを取りすぎの贅沢な要求に屈するつもりはない。
 だから、電池交換のタイミングは難しい。
 限界を攻めすぎて困ったことも何回もある。尻を洗えなくなった経験もあるし、玄関に設置したセンサーライトが動かなくなって夜の闇に包まれた玄関で難儀したこともある。自転車のライトがつかなくなって無灯火で取り締まられるのではないかとビクビクしながら自転車を漕いだこともある。今思えば、ビクビクしていたせいで余計に不自然だったはず。堂々と乗っていた方が良かっただろう。
 電気シェーバーで髭を剃っているときに電池がへたった時は痛かった。電力不足で回転刃は髭を切り落とすことができないものの、刃で挟んだ髭を離す力は残っていた。そのせいで顔を小さな無数の洗濯ばさみで挟まれたみたいない状態になったからだ。
 eneloopのような充電池を使っているといつでも充電できると油断しがち。教壇に立って授業をしているときにワイヤレスマウスの電池が切れたのには参った。ワイヤレスマウスのサブボタンをスライド送りに設定していたからだ。スライドを進めるたびにPCの元に戻るハメになった。
 思い返してみれば、電池残量減少の警告を無視して電池を極限まで使おうとするケチな考えのせいで何度も痛い目にあってきた。それでも、機器の警告に素直に従う気にはなれない。近いうちにトイレで苦労することになると分かっていてもだ。