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スポンジの寿命

by 唐草 [2019/09/12]



 たった100円のスポンジに振り回され、目の前でバスを2台も見送るという悲劇に見舞われた昨日。2度目にバスを見送ったときは、デジャブとしか思えないその光景に現実感を失いそうになったほどだ。むしろ遅刻する類の悪夢を見ていると言われたほうが納得できただろう。繰り返すことと待つことを嘔吐しそうなほどに嫌っているぼくにとって悪夢の20分だった。
 そのせいで昨日は1日中スポンジ、それも食器洗い用のスポンジのことばかり考えていた。あたかもスポンジに片思いをしているようだった。そして、ある事実に気がついた。
 一般的なイメージとしてスポンジというのは、脆い消耗品だろう。破れて捨てることもあるかもしれないが、それはレアケースだろう。多くの場合は泡立ちが悪くなったり、コシがなくなってペチャンコになったりして捨てる。しかも、そのペースは結構早い。早いと1ヶ月保たずにダメになるイメージがある。
 だから、ものを大切に使うことを信条としている貧乏性のぼくでさえ、まるで使い捨てのようにスポンジを取り替えていくことに抵抗はなかった。だからこそ、スポンジなんて100均で買う安物で十分だと考えていた。
 ところが一日中スポンジのことを考えていたら、ある事実にたどり着いた。家で使っている食器洗い用の赤いスポンジのことだ。このスポンジは、かなり前から台所に鎮座している。もう、3ヶ月はあるかもしれない。もしかしたら、半年近いかもしれない。
 ぼくが気が付かないうちに同じ色の新しいスポンジに変えられているという可能性は絶対にない。赤なんていう主張の強い色のものを選ぶ人間はうちにはいない。なにより、入手経路が特殊なのだ。
 スポンジを入手したのは去年の年末。飲み会の席で「丈夫過ぎて我が家では消費しきれず貯まる一方だからもらってくれ」と言って押し付けられた。受け取ったときは、なんで飲み会でスポンジなんだと面食らったものだ。そして、そのときは「消費しきれない」の意味を理解できていなかった。
 数ヶ月赤いスポンジを使い続けている事実に気がついて、ぼくはようやく言葉の意味を理解できたのだ。このスポンジはダスキンの品らしい。100円では、1/3も購入できないかもしれない高級品に違いないだろう。不死身のスポンジを定期的に送りつけられたら、毎日食器洗いを続けていても家がスポンジに埋まるほうが早いだろう。
 頑強なスポンジという字面だけ見ると矛盾していそうな品は、事実存在するのである。