by 唐草 [2019/12/10]
職場に申請していた経費の建て替えが却下されてしまった。業務で使うことは確かだが、役目が終わったら私物化しようという企みがバレてしまったのだろうか?ルールからは逸脱していないが、どことなく後ろめたい気持ちがあるので却下理由を読むまで内心ヒヤヒヤだった。
却下理由は、単純明快だった。ぼくが書類を間違えて申請していたに過ぎなかった。凡ミスで二度手間を巻き起こしてしまい事務からは厄介事を増やすクソ野郎と思われているかもしれない。でも、ぼくの企みが露呈したわけではないのでセーフである。
書類のミスは、恥ずかしいほど低レベルなものだ。領収書を添付するところに納品書を添付してしまったのだ。納品書では、ぼくが経費を建て替えた事実を確認することはできない。書類却下も当然である。
通販で購入した商品なので、通販サイトにログインして領収書をダウンロードすることにした。買い物履歴には、領収書の印刷ボタンが用意されていた。
クリックすると画面には、HTMLで作られた領収書が表示された。四角い会社印が背景画像として設定されているのが、なんとも現代的である。ページをPDFで保存してから印刷した。これで領収書ゲットである。
商品に入っていた納品書と印刷したてでまだ暖かい領収書を2枚並べて比べてみる。一見するとどこも変わらないように見える。商品名、価格、支払い方法などが、同じ位置に同じ文字で印字されている。違っていたのは、紙の上部に印刷された「納品書」と「領収書」の文字だけだった。この3文字(異なるのは2文字)の違いが、重要なのはよく分かる。でも、たったこれだけの違いに振り回されてしまうのが、どうも釈然としない。
しかも、元はHTMLで書かれたデータでしか無い。改変も簡単にできてしまう。店舗で領収書を書いてもらう時は、名刺を差し出して会社の名前を書いてもらったものだ。オンライン時代の今となっては、自分で自分の名前を書くのが当たり前になったのだろう。便利な進化だが、領収書としての証明力は担保できるのだろうか?事務方の仕事が維持できればそれで良いのだろうか?
そんなことを考えていたら、再提出した領収書の宛名を自分の名前にしてしまったことに気がついた。またしてもミスってしまった。今は書類が却下されて戻ってくるのを待っている。印刷したPDFをイラレでゴリゴリ編集して、事務が望むものを作り上げよう。