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課金への誘惑

by 唐草 [2019/05/31]



 ドラクエXを辞めて以来、オンラインゲームは基本ソロで遊び、もしパーティーを組んだとしても一期一会の野良で行こうと心に決めていた。ドラクエXのせいでネット越しの人付き合いに疲れてしまったのかもしれない。とは言え、周りで楽しそうにしている人々を見ると、寂しさとまではいかないが疎外感に似た温度の違いを感じていた。それでもソロを貫いて4年以上いろんなオンラインゲームで遊んできた。
 ここのところどっぷり遊んでいるオンラインゲームである『Fallout 76』もソロを貫いてきた。アメリカのゲームなので基本的に英語圏の人が多そうだし、なによりボイスチャットしか搭載されていない。遊んでいると時々英語のボイスチャットで話しかけられることがあるが、感度の悪いマイク越しのネイティブ発話にぼくのリスニング力ではついていくことなど不可能。だからボイスチャットを投げかけられると、そそくさと逃げ回っていた。中学生の頃から英語を避け続けてきたぼくの末路である。
 このままずっとソロと無言の野良パーティーでゲームを続けていくつもりだった。ところが、ぼくの決心は今月の上旬に折れてしまった。
 ひとりぼっちのウサギのように寂しさに心を蝕まれたというわけではない。難易度的にソロでは無理に近い要素が、雪崩のようにやってきたのだ。固定パーティーで易々とミッションをクリアしている連中を見てしまうと、己の実力の限界への悲しみとワイワイ盛り上がっている連中への嫉妬がこみ上げてきた。
 なんで、ゲームをやってこんな感情に打ちひしがれなくてはならないんだ。これは、娯楽のあるべき姿ではない。ぼくにできることは、2つしか無い。コントローラーを置いてゲームから離れるか、どこかの輪に飛び込むかだ。
 リアルでは社交性のかけらもないいわゆる陰キャの典型のようなぼくだが、ゲームが関わるとちょっとだけ変わってくる。普段は目も合わせないような暗いやつが、好きなジャンルだと周りを無視して早口で喋りまくるアレと同じようなものである。清水の舞台から飛び降りるような覚悟でDiscordの『Fallout 76』サーバの1つに飛び込んでみた。
 その結果、どうにかぼくも固定パーティーの末席を得ることに成功した。ただ、そのせいでゲームへの意識が大きく変わってしまった。無課金装備しか持っていない自分のアバターが、とてもみすぼらしく見えてしまうのだ。ソロのときには見た目なんて気にしたことは一度もなかったのに。連帯感という名の課金への誘惑がぼくを飲み込もうとしている。