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紙に勝るもの

by 唐草 [2024/03/16]



 ペンタブを使ってPCで手書きのメモをすることが増えた。きれいに文字を書くのは苦手だが、手順の確認やデザインのラフスケッチちょっとしたToDoリストなんかをメモするのにはちょうどいい。
 この小さなDXのおかげで、今までメモ用の紙を挟んでいたA4サイズのクリップボードが机の上から姿を消した。もっともクリップボードの代わりにペンタブが置かれるようになったので、机のスペースを広く使えるようになったなんてことはない。
 空間の使い方とメモ精度は紙もPCもほぼ等価。カラーペンを自由に使えるPC手書きメモのほうがやや優勢といった感じもある。
 でも、デジタルメモは完璧に紙に勝っているわけではない。ただ1つだけPCでの手書きメモでは、どうしても紙に書き出すのに勝てない点があった。しかも、それはぼくにとってもっとも重要なこと。
 アルゴリズムの設計と確認だけは、どうしてもPCを使ったデジタル手書きメモだとうまくいかない。紙と同じことをしているのに考えがまとまらなかったり、思いついたアイディアをプログラムのコードに書き出せなくなってしまう。
 原因は、おそらくアプリの切り替えにある。
 手元に置いたクリップボードを使っている時は、目を少し動かすだけで紙のメモとPCの画面を交互に見られた。でも、アプリでメモを取っているとコードを書く前にアプリの切り替えが必要になる。そして、メモはバックグラウンドに隠れてしまう。
 それは自分の考えが影に隠れてしまうのと同じ。視覚的に漠然と捉えていた形のないアイディアの源泉が、スッと消えてしまうようにも感じる。だから、慌ててメモアプリに戻っても手遅れ。なぜか2画面を使ってもうまくいかなかった。
 紙のメモと完全に同じことをデジタルだけで実現するには、おそらくApple Vision ProのようなAR技術が必要になる。
 300円のクリップボードと100円のボールペン。そして、ほぼ無償で手にしたコピーの裏紙の束。これらを完全にデジタルにできることに$3,500の価値をぼくは見出すことはできない。少なくともコピー用紙の裏紙がなくなるまでは。