by 唐草 [2021/03/15]
東京ではすでに桜の開花宣言がなされている。平年より10日以上早いらしい。予想が3/16だったと記憶しているので、専門家の予想すら上回る駆け足ペースでの開花となったようだ。
年々開花日は早くなっている。ぼくが小学生だった頃、桜は入学式に彩りをそえる花というの不動のポジションだった。それ以降徐々に開花が早まり、ぼくが大学を卒業するぐらいには卒業シーズンの花という認識も的外れではなくなっていた。その新しい常識はすでに崩れ始めている。
このままのペースで開花が前倒しになっていくと、桜は春を告げる花という認識になる日もそう遠くはないのかもしれない。今の梅のポジションを奪いかねない。そうなったら桜のイメージもだいぶ変わる。春の季語としての地位を失うことはないかもしれないが、俳句を読んでも共感できないことも増えるだろう。
驚くほど早い開花だったが、それは東京都の標準木が頑張りすぎてしまっただけかもしれない。近県の開花がまだだし、都心が暖かいだけという可能性もある。平均気温が2度違う多摩とは別世界だと考えるべきかもしれない。
では、その別世界はどんな状況なのだろう。ぼくが勝手に標準木としている桜の様子を見に公園へと足を運んだ。
今日の陽気はとても3月とは思えない暖かさ。暖かいことを見越して薄手のジャケットを羽織って出たけれど、それすら暑くて脱いでしまった。公園への道すがらには春の花であるスイセンやコブシの花が咲き誇っていた。5月の連休頃を思わせる気温とカレンダー通りの花の組み合わせは、なんだかミスマッチ。
公園に着くとまっすぐ目的の木に向かった。
まだ開花してなかった。でも、つぼみはぼくの想像とだいぶ違っていた。寒さに耐え固く閉じているのではなく、すでに隙間から花の色が覗いていた。この様子なら、明日には花開いているかもしれないし、週末には満開を迎えても不思議はない。
都心とはぜんぜん違うと思っていたけれど、そうではなかったようだ。