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ブラッシング兵器

by 唐草 [2024/05/11]



 我が家は猫を多頭飼いしている。猫は群れる生き物ではないけれど、1匹で飼うより複数で飼った方が良いと言われている。1匹で飼っていたときは病弱だった猫が、別の猫といっしょに飼うようになったら見違えるように元気になったこともある。
 とは言え、多頭飼いは良いことばかりではない。金銭的な負担も大きくなるし、猫同士の相性が悪いこともある。また、猫同士で群れることを選んで人に心を開かないこともある。それでも多くの猫がノビノビと暮らしているさまは見飽きない。
 今の季節は、冬毛から夏毛に換わる換毛の時期。毎日掃除機をかけていても、大小さまざまな抜け毛の塊が家中のいたるところに散っている。人間と猫がともに暮らすためにブラッシングは欠かせない。
 だと言うのに、ブラッシングが大キライな猫が1匹いる。しかもその猫はやや長毛。放っておくと体に巨大な毛玉の塊ができてしまう。屋内飼いなのに野良猫みたいな状態になってしまうのだ。
 強引にブラッシングを試みたこともある。だが、部屋に散らばったのは猫の毛ではなく、ぼくの血だった。その一件以降、猫はブラシを見ると逃げるようになった。
 その猫自身もブラッシングをしていない弊害に苦しんでいる。身繕いで飲み込んだ毛をヘアボールとして吐き出す日々が続いている。いくらこれが猫の機能だとしても、ほぼ毎日のように吐かれていてはお互いに大変だ。
 正直言って、もうどんな強硬な手段を講じてでもブラッシングをしたい。動物園で脱走した猛獣を捕まえるときのように吹き矢で麻酔を打ち込みたいとすら思っている。でも、それは無理な相談。
 そこで、ありとあらゆるものが売られているペット用品の奥深く、そしてやや胡散臭い世界に活路を見出そうとしている。ブラッシング嫌いの猫のためのグッズだってたくさん売られている。やはりぼくと同じことに悩んでいる人も多いのだろう。
 しかし、レビューを読むとどれも効果を期待できそうにない。サクラレビューが霞むほどに酷評にあふれているものも多い。人間の浅知恵で思いついた便利グッズなんてものは、ずる賢い猫の前では無力なようだ。