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切取線

by 唐草 [2020/11/29]



 ぼくは自分の性格を「細かいところを気にするタイプ」だと考えている。この評価をどう受け止めるかは人によって分かれるだろう。好意的に解釈すれば注意深く律儀な性格となる。否定的に解釈すると些末なことばかり気にする融通の利かない性格だとみなされる。
 自分でも自身の性格をどう評価するかは迷っている。アンケートに自分の性格の長所と短所を書く欄があったら頭を抱えてしまうだろう。こういう場面で必要以上に精度を気にしてしまうことこそ細かいところ気にしてしまう性格の弱点。でも、無事に書き終えられれば正確な自己分析を提出できるはず。
 この性格ゆえに苦手としているものがいくつかある。前にも書いたが食パンをまっすぐ切るのが苦手。いつ切ってもパンが歪むので、きっと曲がるはずだと考えて自分の癖とは逆方向に包丁を進める。でも、自分の癖と意図的な動きが合わさってプラスマイナスゼロになることなんてまずありえない。だからどう工夫してもパンはいつも歪んでしまう。
 食パン以上に苦手にしているものがある。それが切取線。パッケージに書かれている何の変哲もない点線が、ぼくにとっては人生最大の敵のような存在だ。
 細かいところを気にする性格ゆえに点線の真ん中を切らないと気がすまない。カッターを使ってもハサミを使っても、細い切取線を2本に切り分けるぐらいの精度で刃を進める。平面なので曲がることはまずに無く、いつも気持ちよく一刀両断している。
 だが、どんなに高精度に切取線を切ってもパッケージが口を開けるとは限らない。むしろ、丁寧に切取線に沿って切ってもパッケージが開かないほうが多い。
 日本製の商品でも、海外の商品でも切取線まで熱着されていることが多々ある。そういう精度の甘いパッケージを開けるには切取線の下1cmぐいらいを大胆にジョキジョキと切り進めなくてはならない。
 これまでに幾度となく低精度な切取線に翻弄されてきた。だが、細かいところを気にする性格ゆえに切取線以外の場所に刃を入れたくないのだ。切取線に沿ってもパッケージを開けられないと理解してもなお、切取線から逃れることができない。きっと明日も切ったのに口を開かぬパッケージに絶望しながら2回目の刃を入れているのだろう。