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ぽさ(ハート

by 唐草 [2019/02/21]



 長期休暇の間の学校っていったい何が起きているのだろう?先生は給料をもらって1ヵ月以上休みなのだろうか?学生の時分に誰もが一度は思う疑問だろう。
 教員サイドに回って分かったのだけれども、一番忙しいのは休みの期間だ。確かに授業はなくなるけれど、本業である研究に全力を注いだり、来期の計画を立てるための会議三昧になる。休みの間にレールを敷く土木工事をして、授業期間は自分たちが敷いたレールを悠々と走るといった感じである。
 休みの間に忙しくなるのは教員だけではない。事務方を含め、ありとあらゆる部署が学生がいるとできない大掛かりなことに取り組んでいる。そのひとつが校舎の修繕工事。今は、大学のいたるところでヘルメットをかぶった作業員たちが駆け回り、クレーンを使うような本格的な工事が行われている。
 ぼくの所属するフロアでも修繕工事が始まった。資材搬入の際に傷がつかないように壁に白いプラダン(家庭では窓の断熱に使ったりするポリプロピレン製の段ボールみたいなシート)、床にはブルーシートがピンクの養生テープで張り付けられてる。学生が少なく静かな校舎は、うるさいほど原色であふれている。
 プラダンは何かがぶつかるとその身を挺して壁を守ってくれる。ぶつかった場所には名誉の負傷と言うべき白い跡が付く。エレベーターの中に張られたプラダンは満身創痍である。でも、多くは物がぶつかってできた傷ではない。意図的につけられた落書きがほとんどである。
 エレベーターに乗っている間のすることのない手持ち無沙汰の十数秒。若い学生が数人で群れていたら落書きのひとつもしたくなるだろう。どうせすぐに剥がされる養生材だ。いたずらしても誰も責めはしない。ちょっと傷をつけて痕を残したくなる気持ちは、年の離れたぼくでもよく分かる。
 でも、だからと言って小学生男子が喜びそうな「う」や「ち」で始まって「こ」で終わる品のないワードを書くのはいかがかと思う。男子なんていくつになっても中身は7歳児から成長していないのは確かだが、書くなら読んでも不快にならない言葉を書いてほしい。ぼくは、エレベーターに乗るたびに稚拙な言葉にイライラを感じている。
 でも、そんな言葉をヒステリックに消すのは、それはそれで大人気ないとも思っている。
 だから、ぼくは下ネタを構成しているひらがなに線を数本足して別の文字や図形にしている。「ま」には、横棒と〇を付け加えて「ぽ」に変えた。「こ」には、縦棒を加えて「さ」へと化けさせた。「う」は、鏡文字を加えてハートマークにした。こんな具合に下ネタワードを意味不明な文字列へと書き換えて、不快な感じを中和している。
 学生ばっかり楽しそうに落書きをするなんて許せない。ひと手間加えて落書きの不快な文字を読めなくする。これがぼくの落書きの口実であるのは言うまでもない。