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ガレージに潜む魔物

by 唐草 [2021/08/11]



 最寄り駅へ向かう道すがらに豪邸と呼ぶにふさわしい場所がある。ベルサイユ宮殿のような豪華な建物が目に飛び込んでくるという訳ではない。その逆で立派な生け垣と広大な敷地のおかけで建物がまったく見えない。興味本位でGoogleマップの航空写真を見てみると住宅街に取り残された森のように見える。
 敷地面積も桁違いだ。通りから通りまでという表現が適切で、ある区画を1軒で専有している。住所は、そのお屋敷だけで1つの番地を専有しているのではないだろうか。もっともそのぐらいの豪邸なら住所を書かずに宛名だけでも届きそうな気がする。
 相続税に負けずに長年広大な敷地を維持できていることを考えると、遺産を食い潰すだけのボンボンとはひと味もふた味も違う優秀さをもっているやり手が住んでいるのだろう。
 広大さと豊かな緑のせいで街に残された森のようにしか見えない敷地だが、そこに豪邸が潜んでいることを市井のぼくらに思い出させる場所がある。それが通りに面した大きなガレージの扉。深い茶色に塗られた扉の幅は、10mぐらい。普通の車だったらゆうに3台は停車できる幅だ。お屋敷の規模を考えると何台もの車が停められていても不思議はない。広大な豪邸には、いったいどんな車が止まっているのだろうか?
 噂や不確かな目撃気情報をすり合わせるととんでもない車が停まっている可能性が浮上してきた。
 「水色のスポーツカーを見た」「薄べったくてやたらと幅の広い車を見た」「尖ってカクカクしたすごい車を見た」「パンッパンッとアフターファイアが響くの何度も聞いた」「エンブレムはフェラーリの跳ね馬ではなかった」「他で見たことのない車だった」「サイバーなテールランプだった」といった声が上がっている。断片的で不確かな情報は、まるで未確認生物の目撃談のようだ。
 フェラーリではなく、未来感のあるスーパーカーらしい見た目で、アフターファイアが響く車。こんな条件に当てはまる車は多くない。ランボルギーニ・アヴェンタドールではないだろうか?
 多摩の田舎にもアヴェンタドールがあるのか。一度は見てみたいな。