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静音マウス

by 唐草 [2021/08/10]



 Zoomなんかでオンライン会議をしていると他人の発するノイズが集中力を乱す。周囲にいる人の声や椅子が軋む音といった環境音も耳障りだが、それ以上にぼくを不機嫌にさせるノイズはノートPCのキーボード打鍵音だ。
 ノートPCのマイクを使いながらオンライン会議をしていると、マイクは打鍵音を拾ってしまう。しかも、本体に響いているので叩いている本人よりも他の参加者のほうが大きな音に聞こえているようだ。誰かがミーティング中にキーボードを打つたびに、道路工事でもしているのではないかというダダダダダという轟音が鳴り響く。イヤホンを使っていると耐え難いものがある。
 ぼくも普段は打鍵音のうるさい茶軸キーボードを使っているので、人のことを大手を振って責めることは出来ない。それでも、ぼくは自分がノイズを発していることを把握している。だからオンライン会議のときは、愛用の茶軸を脇に退けて静音キーボードに切り替えるよう心がけている。その結果、マイクミュートを疑われるぐらいに静かに会議に参加できている。ただ喋っていないだけとも言えるが。
 キーボード音ほどではないが、マウスのクリック音も耳障りなノイズの1つだ。資料を共有するとカチッカチッというクリック音とともに発言者画面が何度も切り替わる。誰も喋っていない中にクリック音だけが響くのは、試験の時に鉛筆が滑る音だけが響いているのと同じで居心地が悪い。
 これらの操作音に無頓着な人も少なくないようだが、ぼくは自分が発するノイズが誰かを不愉快にしているかもしれないという事実に耐えられない。だから、ぼくは静寂なオンライン会議実現のために小さな投資をした。
 それが、クリック音のしない静音マウスを購入だ。
 なんでも図書館でPCを使っても周りに迷惑をかけないように作られた商品らしい。その性能は間違いないようだ。乱暴にクリックしても何の音もしない。それはすばらしいことなのだが、実際に使ってみると問題があることにも気づく。
 音というフィードバックが無いのでクリック感が皆無。だから自分の操作に自信が持てない。カチッと言う音がこれほど重要だったとは…。ネットの向こうの人に優しくしようと努めた結果、自分に優しくなくなってしまったようだ。