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元日の朝は

by 唐草 [2021/01/01]



 元日の朝というのは、単に一年で一番初めの朝であるだけでなく、一番特別な朝だと思う。それは、お年玉をもらう側でなくなった今でも変わらない。
 その特別さを感じるためにさまざまな所作やしきたりがある。多くの日本人にとって初詣がもっとも元日らしさを実感できるイベントではないだろうか。普段はお腹が痛くなったときしか神様の存在を信じない人も勇んで神社へと向かう。今年は自粛気味だが、こんな時だからこそ神様への挨拶をしなければと思って参拝した人もいるだろう。
 また、食事で元日を感じる人も多いだろう。おせちは不人気になってきて簡略化が進んでいるようだが、餅を口にする人はまだまだ多そうだ。喉につまらせたら簡単に命を落としてしまうような危険な食べ物を老若男女が喜んで口にしているなんて考えると、日本人は皆イカれているのではないかと海外の人に思われても不思議はない。それどころか、死と隣り合わせだったハラキリのサムライ精神を引き継いでいるとか嘘の説明で外国人を簡単に騙せるかもしれない。
 そんな危険なものをぼくも口にした。それも3つも。
 とは言え、餅が2021年最初の食事だったわけではない。ぼくが餅を食べたのはお昼。では、2021年最初の食事は何だったのか?
 普段と同じでトーストとコーヒーだった。
 昨年までは、ぼくも正月らしさを感じるために元日の朝には餅を食べると決めていた。
 だが、数年前にぼくは餅がそんなに好きではないことに気がついてしまった。長らくお正月は餅に向かい合って来ていたのだが、それは餅が好きだからではなかった。餅をカビさせてムダにしたくないというフードロスへの意識が前のめりになっていただけだった。ぼくにとって餅は、楽しんで食べるものではなく、慌てて消費するものでしかなかった。
 このことに気がついてしまったので、今年は餅を準備しなかった。おかげで心穏やかにお正月を迎えることができた。
 餅無しで元日の朝という特別な朝をどう迎えればいいのか?
 特別な日だからこそ、いつも通りに迎えよう。
 ということで今朝はトーストとコーヒーとなった。なんだか日本人の矜持を捨てたような気もするが、これがもっとも気楽なお正月の迎え方。
 
 あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。