カレンダー

2021/12
   
 
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

地球に繋げ

by 唐草 [2022/01/28]



 前世紀の昔話をしよう。
 20世紀末の自動車には細く短い尻尾が生えていた。フサフサの尻尾ではなくネズミの尻尾のような黒いゴムのようなの尻尾。生えているのはリアバンパーのマフラーとは反対側。当然のことながら空前のケモナーブームとかがあったわけではない。実用性を求めて装着していたオプションパーツだ。
 尻尾の正体は静電気対策のアース。ドアを開ける時にバチッとくるのを避けるために使われていた。
 自動車のボディーと地面をアースでつなぐことによって、静電気を逃がす効果を期待していたらしい。久しく見ていないことを考えるとあまり効果はなかったのかもしれない。
 なんでこんな懐かしい話を思い出したのかと言えば、今のぼくが静電気に悩まされているから。
 化繊の下着を身に着け、化繊の室内ジャケットを羽織って、ゴム底のスリッパを履けば何を起きるかは想像に難くない。ドアノブ、蛇口、シンクなどの金属に触れるたびにバチッと大きな音を立てて放電している。音だけなら良いが、当然ながら痛い。油断している時に不意打ちでバチッとなるので、ステルスアタック効果もあいまり体感威力250%アップという感じだ。
 一日中、痛い思いをするのは勘弁願いたい。だから、金属に触れる前には一度スリッパを脱いで床に立って放電するように心がけている。とは言え、ドアを開けるといった日常の何気ない動作の前に、いちいち儀式めいた動きを挟むのは難しい。85%ぐらいの確率で忘れて痛い目にあっている。
 根本から静電気対策を行うのであれば、帯電しない服を身につけるのが一番。でも、この寒さではそれも難しい。帯電が避けれられないのなら安全に放電するしかない。だからスリッパを脱いで能動的な放電を試みているがうまくいかない。こうなったら受動的に放電するしかない。
 そこで思い至ったのが、昔の車についていたアースのようなものを身につけるという発想。尻尾を生やしたいわけではない。足首にチェーンでも巻いて引きずって歩けばOKかな?それは別の意味で痛いな。