KL system

ベストシーズン

by 唐草 [2021/12/14]

　今年の3/19の記事に関して全面的な謝罪をしたい。
　この記事で「F1は開幕戦の予選だけで1年の結果を占える。だからF1を楽しめるのは開幕戦の予選まで」と書いた。ぼくの予想通り2021シーズン開幕戦予選勝者と今年の年間チャンピオンは合致している。結果は合っていたが、そこに至るまでの経緯が想像と全然違っていた。たぶん今年は、この10年で一番盛り上がったシーズンだ。
　チャンピオンが決まったのは最終戦ラスト1周。ドラマみたいに良くできた結末が待っていた。今年は、最終戦に限らず手に汗握る接戦がシーズンを通して繰り返されてきた。振り返ってみればどのグランプリも重要な試合となっていた。ベストシーズンだと言っていい。
　予選の1周ですべてが分かるなんて言ったのは早計だった。結果的中だったとは言え、先の判断は完全にぼくの間違い。この場で謝罪したい。
　むしろ今年は予選の1周ではなく、最終戦のラスト1周だけを見れば良いシーズンだった。グダグダなレース運営、肉薄したダーティーなレース展開、場面で変わるルール解釈。良い面も悪い面もすべてが凝縮されたようなラストラップだった。歴史に残る一戦だと思うけれど、たぶんそれは悪い方。
　ぼくは王者が倒される展開が好きだし、日本人なのでホンダ贔屓。だから結果に満足しているけれど、それでも話題作りのために演出された展開だという批判に反論はできない。もしメルセデス贔屓だったら憤慨していたはず。
　プロスポーツなんて突き詰めれば興行でしか無い。盛り上がってナンボ、話題になってナンボというのが本音だろう。それでもプロの興行師は裏にある策や企み、お財布勘定をファンに察されてはダメ。そう考えると疑義を持たれる演出は、及第点とは言えない。
　接戦になったのは事実だし、毎戦のようにランキングが入れ替わる状況も面白かった。流れに乗っているときは楽しかったが、終わって後ろを振り返るとなんだか釈然としないようにも思える。とは言え、観戦しているその瞬間が最高に楽しいというのが一番重要だし、そのための演出もありだよな。ホンダ勝ったし。

• <<前の記事を読む　
• 　次の記事を読む>>