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証明できる?

by 唐草 [2020/03/09]



 先月、SIMカードの購入をする際に身分証明で大いに苦労した。ぼくが運転免許証もパスポートも持っていない社会的弱者だからだ。身分証明が必要な機会なんてそう多くはないとは言え、毎回役所に行って書類をもらってくるのは面倒だ。何か良い解決策はないだろうか?と頭を抱えて結論を急いだ結果が、マイナンバーカードの取得だった。
 政治的な心情もありあまり評判がよろしく無いマイナンバーカードだが、身分証明書としての格はパスポート並みである。Web申込みで申請できるし、費用は無料。申込みに必要なのは、謎の申込み番号と顔写真だけ。しかも、顔写真はスマホで取ったデジタルデータでOK。原付免許やパスポートを取得するよりずっと簡単で安上がりだ。
 1秒でも早く身分証明証が欲しい一心で申し込みをしたのだが、ひとつだけ気がかりな点があった。前にも書いたが、ぼくの顔写真が見るに耐えないぐらいブサイクだったので、現実を直視できない心の弱さから修正を施してしまったことである。申し込み規約には、加工していない写真を提出せよと書かれている。
 目を大きくしたり、顎を尖らせたりはしていない。肌の色とキメを整え、影やクマを消した程度である。それでも見る人が見れば加工だとすぐに分かる。果たして、審査には合格できるのだろうか?
 先週末、1枚のハガキが届いた。それにはマイナンバーカードを受け取りに来いとだけ書かれていた。無事、審査に通ったのである。つまり、ぼくの加工は国のお墨付きを受けたわけだ。節制を知る良い修正だった訳だ。鏡には絶対に映らないあの顔が、ぼくの誇りである。
 早速カードを受け取りに行こうと思ったのだが、予想もしていなかった罠が待ち構えていた。
 マイナンバーカードの受け取りには、本人確認ができる公的な身分証明証が必要だったのだ。ぼくは身分証明証を持っていなかったので、マイナンバーカードを申請したのだ。それなのに受取時に別の身分証明証が必要だなんて、一体どうすればいいんだ。完全に詰んでいるじゃないか。悪夢の堂々巡りである。
 ハガキをよく読んだら、「免許や旅券を持っていない場合は」という注意書きがあった。またしても複数の書類を集めるいつもの苦労をするハメになったのだ。この苦労から逃れたかったのに…。