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自動運転に甘える

by 唐草 [2019/09/05]



 今はまだSFの世界だけで描かれる運転手不在の自動運転の車、つまり自動運転レベル5相当の技術が実現するのは何年後だろうか?最近の運転アシストの進化を見るとそう遠くない未来に実現しそうな気もする。一方で10年前はメルセデスとかの高級車だけが積んでいた高性能なクルーズコントロールが安価になって、多くの自動車に搭載されるようになっただけにも見える。今の日本の車の自動運転レベルが2相当であることを考えると、やはり実現はまだ遠そうだ。法整備とか色々必要だし。
 海外に目を向けるとテスラの自動運転の能力が高いそうだ。道幅が広いアメリカという土地柄が大きなアドバンテージになっているかもしれないが、先日も運転手が寝ているのにちゃんと走っていたというのが話題になっていた。
 世界中のメーカーが自動運転技術開発にやっ気になっているところをみると、この流れが消えることはないだろう。一向に流行らない3D映像なんかとは違って、世界を変えうるポテンシャルを秘めた技術だということに疑いはない。
 自動運転が実現したら世界はどう変わるだろう?
 今問題となっている高齢ドライバーの運転ミスやあおり運転はなくなるだろう。いいことずくめのようだが、新たな負の面も生まれるはずだ。
 ぼくは新たな負の面として歩行者のマナーが悪化するのではないかと危惧している。
 歩行者がマジメに赤信号で止まって、横断歩道を歩いているのは、ルールを守るのが楽しいからではない。轢かれて痛い思いをしたくないからである。
 運転手が生身の人間である限り反応速度は遅いし、判断間違いもある。回避行動にミスもある。だから、歩行者が何も考えずに道路に飛び出したら高い確率で轢かれるだろう。では、運転を制御しているのが高度な機械だったらどうだろう?反応速度は人間よりずっと早いだろう。迷いもない。間髪を入れず減速して、もっとも危険性が少ない方向へ確実に回避するだろう。反発する磁石の動きのようになめらかな動きで危機を回避するに違いない。
 自動運転がそのレベルまで進化したら、きっとぼくらは盲目的に「車は人を避けるもの」だと信じてしまう。そうなったら、信号や歩道のある場所を選んだり、車が通過するのを待ったりはしないだろう。まるで自分が王様のような大胆な振る舞いで道を往来するだろう。未来では自動運転の優秀さに甘えて危険な動きをする自分本意な人が増え、今とは違う形の無防備な事故が増加するのではないだろうか?ぼくは、そんな杞憂としか言えない心配をしているのである。