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シリコンコーティング

by 唐草 [2021/09/25]



 画面内のカーソルを意のままに操れなくなった。トラックボールの大きなボールを転がそうと頑張って指を動かしても、カーソルはちょっとしか動かない。まるで足が動かなくて歩けない悪夢のようで、体の空回りが徒労感と焦りだけを生む。
 ぼくはデスクで居眠りして、仕事がうまくいかない悪夢を見ているのだろうか?いや、眠いのは確かだが、夢は見ていない。トラックボールが動かないのは、残念ながら紛れもない現実だ。
 トラックボールが動かなくなる理由はいくつかある。一番多いのは、センサーにホコリやゴミが詰まってしまうこと。これは光学マウスと同じ。それ以外にもボールを支えるベアリングにゴミ(主に手垢)が挟まるという汚い理由や、ボール表面に油がついてレーザーの反射が狂うこともある。光学マウスとボールマウスの両方の弱点を抱えているとも言える。
 だが、残念なことに今回の原因はもっと深刻だった。ベアリング摩耗した結果、本来は浮いているはずのボールが本体に底づきしていた。これではボールが回るはずもない。指が虚しくボールの上を滑るだけになるのも当然だ。トラックボールが寿命を迎えたと言っていい絶望的な状態である。
 それでも、この状況を改善する手段はまだ残されている。底づきしているなら、滑りを良くすればいいじゃないかという逆転の発想だ。
 これを実現するには強力な潤滑剤が必要になる。今回選んだ潤滑剤はシリコンスプレー。なにかの滑りが悪い時、シリコンスプレーはすべてを解決してくれる。困ったときのシリコンスプレーだ。
 早速、トラックボール本体の底にスプレーする。たったこれだけで問題はほぼ解決。ボールは慣性でしばらく回っていそうなほど軽くなった。
 と、喜んだのもつかの間。スプレーをかけすぎてしまったようでボール全体がシリコンオイルまみれになってしまった。シリコンコーティングされたボールは、ツルツルで指が空回りしてしまう。滑らなすぎから滑りすぎへ一飛び。右手はシリコンまみれ。トラックボールライフは波乱万丈だ。
 皆さんは、マウスを使いましょう。