カレンダー

2018/05
  
  
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

緊急ドタバタ劇

by 唐草 [2021/04/29]



 3度目の緊急事態宣言。世間の受け止めは淡白で、1回目のような緊張感はまるで無い。去年と今年では、知識も経験も実績も雲泥の差がある。そんな自信と油断が混じり合って新型コロナウイルスの存在は、姿の見えぬ幽鬼から厄介な日常へと変わった。
 それでも現場レベルで見ると朝令暮改な対策が実施されている感が否めない。ぼくも対策することだけを目的としたような現場をまるで見ていない命令に振り回されることになった。それが昨日の話だ。
 今期受け持っている2限の授業に向けて電車に揺られていた午前8時50分、スマホにメールが届いているのに気がついた。送信時間は8:35。ちょうど家を出た頃だ。メールには「緊急事態宣言を受けて今日以降の授業は、すべて遠隔で実施となりました」と書かれていた。
 おい、遅すぎるだろう。1限は9時には始まる。すでに多くの学生が大学へ向けて家を出ているはず。今更、オンライン授業への切り替えを言われても間に合いっこない。誰もがそう思うことを予想していたのか、メールには続きがあった。
 「この連絡が間に合わない恐れがあるので、オンライン授業の実施は2限からとします」と続いていた。しかも、それで終わりではない。「学生は登校していると予想されるので、教室でオンライン授業を受けるように指示してください」と続いていた。
 つまり教員だけがモニターの向こうにいて学生は教室でPCに向かっているという状況を作ろうとしている。去年、どこかの小学校の始業式で校長先生のオンライン配信を教室に集まって見るという対策が批判の的になっていた。それと同じことをしろとこの期に及んで要求しているのだ。
 アホだ。
 ぼくは授業がオンラインになる可能性を考慮して準備を進めていた。だからこのメールにも従える。でも、学生たちに情報が伝わっているかも不明だし、みんな登校してしまっているとしか思えない。ポーズだけで効果を期待できない対策に協力するつもりはない。
 だから時間通りに教室に向かった。全員出席していたし、2限からオンラインになったことを把握していた学生はひとりもいなかった。事情を説明して予定通り対面授業を実施した。
 なお、下の階では朝のメールを送った教授が対面授業を実施していたっぽい。どの口で人に指示してんだよ。