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真に多様性のある社会

by 唐草 [2023/11/27]



 多様性が叫ばれるようになって久しい。残念なことにその実現はまだ遠い。それどころか、以前にも増して主義主張の衝突が起きている印象さえある。
 これまで少数派は、声を上げる機会もなく息を潜めていたのだろう。だから、表立った衝突は起きなかった。それは抑圧された見かけだけの平穏に過ぎない。
 多くの努力によって抑圧された状況は、わずかに改善した。勇気を持って声を上げる少数派も出てきた。多数派は、これまで見えなかった存在の出現をすんなり受け入れられずにいる。また、少数派も一枚岩ではない。だから、さまざまな衝突が起きるのだろう。
 大学の授業で身の回りの社会問題について調査して意見を述べるという課題を担当していた。ここ数年、LGBTQをテーマに選ぶ学生が増えている(女子ばかりなのも特徴)。少しずつだが性の多様性に関する理解や関心が高まっているのは間違いない。
 レポートを読むと「今すぐ同性婚を認めろ」というような急進的な意見が多い。多様性への理解が進んでいるが、視点の持ち方が画一的。これは本当に多様性が進んでいると言えるのだろうか?
 世の中は白と黒に塗り分けられるほど簡単ではない。ムラっ気のあるグラデーションだと思う。そして、多くの人は自分がいる場所の色こそ正しいと信じているように思える。だからこそ、異なる色に属する人に攻撃的になってしまうのではないだろうか?ぼくにも許しがたい思想信条は存在する。それはときに暴力的な活動も許容しかねない。
 学生たちにとって幸運だったのは、ぼくのLGBTQに関する思想信条が比較的ニュートラルだったことだろう。理論と証拠に基づいていれば、思想の如何で得点が変わることはない。
 ぼくが、中立に近い立場を維持できるのは性的なマイノリティーにもマジョリティーにも関心がないから。主張したい意見もないので、どうでもいい。各人が好き勝手やってろというだけ。
 世の中にぼくみたいな無関心な人が増えれば、衝突はなくなり多様性が理解された社会に見えるはず。それは、道で倒れた人がいても手を差し伸べないような世の中だけれども。