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名簿の強敵

by 唐草 [2023/11/19]



 ぼくは大学での授業を受け持ってもいるので、きっちり年に2回のペースで新しい名簿を渡される。名簿はいつだって難読名に溢れている。
 そろそろキラキラネームが問題化し始めた頃の子どもたちが高等教育を受け始める時期が近づいてきている。でも、実際のところ連想ゲームも真っ青な難読な”名前”が名簿に溢れていても問題はない。授業で下の名前を呼ぶことなんてまず無いからだ。だから、教室にポケモンの名前の学生がいたとしても、ぼくは涼しい顔で授業をしていられる。
 だが、実際にはいつも冷や汗混じりの顔で名簿を睨むことになる。名字が難しいのだ。下の名前とは違った難しさがある。
 百人に一人ぐらいの珍名さんが授業にいることは珍しくない。ぼくは当然読めないが、インターネットの力を借りれば易々とクリアできる。なので珍名さんは、そこまで怖くない。
 荻原(オギワラ)と萩原(ハギワラ)の区別が難しい問題は、何度も痛い目に合っている。これは漢字の読みの難しさではなく、ぼくの集中力の問題。なので改善は難しい。しかし、間違えられた荻原さんも萩原さんも平然としている。彼らには「またか」というつまらぬ出来事のようだ。本当に荻原さんと萩原さんの温厚さには助けられている。
 ぼくをもっとも苦しめた名字は、角田かもしれない。ここ何年かF1のニュースを見るたびに色々な記憶が蘇る。
 ぼくが初めて知った角田さんはカクタさんだった。
 そして、今F1で活躍している角田選手はツノダさん。
 角田とは別にぼくが初めて知った「角」を含む名字は角井(カドイ)さんだった。なので、名字の角は「カド」と読む印象が強い。
 このように「角」はありふれた文字だが油断できない。一発で正解を引けたこともあるが、確率的には間違えることのほうがずっと多い。大学の名簿は50音順になっているので前後の名字からツノダは見破れても、カドタとカクタは判別不能。幸い角田はそう多くないのが救いだ。
 とは言え、ぼくはこの先も「角田」を読み間違え続けるのだろう。
 きっとこの話題を目にした角田(スミタ)さんが、笑っているはず。