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夏祭りの闇

by 唐草 [2023/09/27]



 また暑い日が復活したけれど、カレンダーを見れば10月は目の前。いくらなんでも夏は終わったと言っていいだろう。だとしたら時効だ。この夏に知ってしまった夏祭りの闇を暴露したい。
 7月の初めに大きなホームセンターへ行く機会があった。その店を「大きな」と呼ぶのは単に床面積が広いだけではない。一般人が見る機会が少なかったり、どこで売っているのか想像もできないプロ向けの製品を多く扱っているからだ。
 ぼくが店を訪れた日は、夏祭り用の商品を売る特設コーナーができていた。そこには、様々な色の提灯や屋台の紅白幕といったの大きなものから、水風船や大小様々なアヒルといった景品に至るまでさまざまなものが売られていた。コーナーを1周すれば、誰もがテキ屋のオーナーになれる。そんな品揃えだった。
 夏祭りの屋台といえば、金魚すくいが定番だ。売り場にも金魚すくい関連の品が並んでいた。ここに闇があった。
 そこには紙製のポイが売られていた。同じパッケージが大量に並んでいるように見えたが、棚のラベルを見ると2種類あるようだ。2つは何が違うのか?
 一方のラベルには「強」と書かれていた。もう一方には「弱」と書かれていた。
 そう、ポイにはほぼ同じ見た目なのに「強」と「弱」が売られているのだ。こんなこと知らなかったし、知りたくもなかった。
 金魚すくい屋台の店主が、強弱2種類のポイをどう使うのかを想像するのは難くない。良心的な店が強を買い、ガメついテキ屋が弱を買う。そんな童話的な話ならばよいが、実際にはもっと闇は深いだろう。
 おそらく強と弱をシャッフルして使う。当然弱の方が多いはず。
 時々ガンガン金魚をすくっている人を見るが、それは必ずしも本人の腕だけではないということだ。上手い人が強のポイを引いたときだけ起きる奇跡のフィーバータイムなのだ。
 金魚すくいなんて、挑戦が目的で成果は気にしていなかった。でも、始める前から知らされていないルールがあったなんて。ショックだ。
 ポイの横で売られている1個68円のアヒルのちょっと印字のズレた間抜けな目が、ピュアなぼくを笑っている。