by 唐草 [2023/09/21]
親から「来月、海外旅行へ行ってくる」と連絡があった。旅への心配事を告げられたのだが、それは治安でも、言語でも、通貨でもなかった。スマホのバッテリーがヘタってきていることへの不安だった。なんとも現代的な不安だ。同時にその不安は痛いほど分かる。
現代人にとってインターネットは知識の外部記憶装置。スマホがその入口。スマホさえあれば、不案内な海外に赴くときでも地図やガイドブックはいらない。
ぼくとしてはバッテリーの心配をする前に海外での回線確保の心配が先なんじゃないのかと思ったが、それは杞憂だった。むしろ、ぼくが世間知らずだった。今は、旅行代理店が海外で使えるモバイルルーターを貸し出してくれるそうだ。料金も妥当だった。
そうならば、たしかに心配なのはバッテリーだけ。
この期に古いスマホを買い替えるのが良いかもしれないが、旅先で使い慣れない新しいスマホを使うとどんなトラブルが起きるか予想できない。それにピカピカの新品を持っていたら盗難リスクも高まる。旅の相棒には、いい具合にくたびれた使い慣れたスマホが一番に思える。
となれば、必要なのはモバイルバッテリーだ。
ぼくはスマホやタブレットといったデジタルガジェットに囲まれた生活を送っているが、モバイルバッテリーにはとんと疎い。常にWi-Fiと電源のある屋内にしかいないからだ。モバイルバッテリーは、ぼくの人生には不要だと言っても過言ではない。なので、旅のお供にどんなモバイルバッテリーがふさわしいのか分からない。
そんなぼくにも人生初のモバイルバッテリーを購入するときが来た。
そう思ったのだが、過去に一度だけモバイルバッテリーを手にしたことがあったのを思い出した。2016年にAUを解約した際に、余っていたポイントを消化するのにちょうどいい品としてモバイルバッテリーを受け取っていた。
そのバッテリーが未開封である。
でも、バッテリーは使っていなくても経年劣化する。2016年から一度も使っていなかったモバイルバッテリーは、ちゃんと機能するだろうか?これがぼくの不安。
バッテリーは現代人の不安の種である。