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レッツクッキング

by 唐草 [2023/06/08]



 スパゲッティーを茹でる時。それは我が家の年季の入ったキッチンはかりが、もっとも輝く瞬間。小さいことにうるさいぼくは、麺を100g単位(誤差は2%以内)で扱わないと気がすまない。何人分を茹でるときでも必ずはかりを使い、麺1本単位で重さを微調整する。
 使っているキッチンはかりはアナログ式。デジタル式を使ったこともあったが、細かいことにこだわる人間には合わないと痛感した。1g単位で表示されるので、ジャスト100gになるまで微調整を繰り返して己の首を締めてしまうのだ。
 重さにこだわるぼくは、はかりの目盛りしか見ていなかった。今日、ふと文字盤の真ん中の文字が気になった。
 ”Let’s Cooking”
 そう書かれていた。
 「さあ、料理しよう!」的な気持ちを込めて書かれているのだろう。この手の”Let’s” + “~ing”な表現を見聞きすることは多い。日本では馴染みのある表現だが、英語的には誤り。大手企業であるタニタが、和製英語を堂々と書くとは残念だ。
 英語で「さあ、料理しよう!」と書くなら”Let’s Cook”になる。”ing”はいらない。
 さて、最近ハマっている立場逆転シンキング(これは名詞なのでingがあって良い)をしてみよう。アメリカで買ったはかりにどんな日本語が書かれていたら、英語ネイティブが”Let’s Cooking”を見たときの気分になるか考えてみたい。
 今回のポイントは、動詞と名詞がゴッチャになっていること。
 だとすると「さあ、料理!」だろうか?
 あれ?想像していたほど違和感がないぞ。文法的には正しくないが、意味的には目くじらを立てるほどのことではないのかもしれない。
 別の方向からも考えてみよう。”Let’s Cooking”を様々なAIに翻訳させた。すると軒並み「レッツクッキング」とカタカナになった。和製英語なのでそのままカタカナにするようだ。つまり、”Let’s ~ing”はもはや日本語なのだ。
 ということは、ネイティブが感じるであろう違和感を再現するならローマ字で”RYOURI SHIYOU”と書くのがもっとも近いのかも。