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小麦の違い

by 唐草 [2023/06/03]



 ぼくはあまり料理は作らないけれど、海外の料理番組を見るのが好きだ。その理由は前にも書いたが、見たことも聞いたこともない料理や食材がドンドン出てくるから。腹を満たすためではなく好奇心を満たすために番組を見ている。
 先日見ていたイギリスの番組ではパンやパイを焼いていた(素人が焼き菓子の腕を競うやつではない)。イギリス料理は日本ではあまり馴染みはない。それに不味いと言われることも多い。イギリスの番組を見ていると、味は分からないが、少なくとも日本では不人気の理由を察することができる。
 どの番組を見ても、とりあえず肉をパイ皮で包んでオーブンで焼くという流ればかり。パイの中身(フィリング)は肉や野菜、そして魚と様々な種類と下準備があるが、出来上がったものの見た目はどれも似ている。なので、オーブンから取り出されたときの絵面が地味。切り分けても断面の違いぐらいしかない。とにかく地味。これでは、見た目を重視してキャラ弁のような本末転倒なものさえ生み出してしまう我々日本人の琴線には響かない。
 見た目の区別がつかないような地味な料理であっても、番組をよく見ていると食文化の深さを垣間見られることがある。
 一見同じように見える何かの包み焼きでも、包む小麦の生地を「ペイストリー」と呼ぶこともあれば「ドウ」と呼ぶこともある。字幕では一様に「生地」と訳されている。同じように小麦をこねて綿棒で伸ばす生地でも、何かが違うらしい。
 だが、番組の中で2つの違いについて言及することはない。きっとイギリス人には、「ペイストリー」と「ドウ」の違いは、常識的なものなのだろう。これが小麦を主食とする国の食文化。
 おそらくフランスやイタリアなどヨーロッパ各国でも、同じように製法のわずかな違いや使う目的によって呼び名が変わる食材があるのだろう。
 では、日本にそのようなものはあるだろうか?
 それを見つけるのはたぶん難しい。なにせ、ぼくら日本人には全然別物に見えているのだろうから。
 「うるち米」と「もち米」みたいなものだろうか?きっとどちらも英語だと”rice”になるはず。